船を利用した輸送方法には「FCL運送」と「LCL運送」の2種類があります。
FCL、LCLはともに海上コンテナを利用した輸送を指しますが、その形態が異なります。
FCLは正式名称をFull Container Loadといい、LCLはLess Than Container Load の略称です。
一つのコンテナがいっぱい(Full)になっているのか、コンテナ1個分に満たない(Less)のかという点からのネーミングです。
FCLとLCLの違い
FCL運送は一社のみの荷主がコンテナ単位で借り切る(仕立てる)輸送スタイルです。
FCLは一社のみでコンテナを使うため、1個当たりの積載量が多い、フル(満載)でコンテナを使う場合にはコストパフォーマンスが高くなります。
しかし、積載量が少ない場合には割高になることも考えられます。
一方、LCL運送は複数の荷主の貨物を1個のコンテナにまとめる方法です。
運送人(船会社やフォワーダー)が複数の荷主から集めた貨物をコンテナ単位にまとめるため「混載」または「コンソリデーション」と呼ぶこともあります。
輸送する貨物量が少ない(コンテナ1個分には及びそうにない)場合で、コスト面を優先した輸送方法を選ぶのであれば、LCLを使うのが一般的です。
LCLでは貨物を混載するため、運賃を計算する際にそれぞれの貨物の重さや容量を計算します。
このとき、単位は「RT」(R/T、レベニュートン)またはCBM(M3)と呼ばれるものを使用します。
RTとは「容積と重さを比較した際に大きい数字を選択する方法」であり、CBMは「製品の容積を1立方メートルに換算する方法」を指します。
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コンテナのサイズ・種類・積載量
FCLとLCLはともにコンテナを使用する海上輸送です。
そのため、どんなコンテナを選ぶのか、またどれくらいの貨物が入るのかを、しっかりと事前に確認しておくことがポイントになるでしょう。
コンテナのサイズと種類
コンテナのサイズはISO(国際標準化機構)が定める規格に準いており、海上コンテナ輸送では一般的に20フィートコンテナと40フィートコンテナが使用されます。
種類は大きく分けて4種類(液体などの貨物輸送を除く)あり、それぞれ用途が異なります。
また、種類によってコンテナの外寸と内寸の差が異なるので、実際に輸送する際は内寸サイズを基準に判断すると良いでしょう。
最大積載重量はコンテナ自体の重量も含まれるので、当然のことながら自重が大きくなるほど貨物に当てる積載重量は小さくなります。
さらに国内の陸上輸送の際には道路交通法の関係上、コンテナ輸送ヘッド(シャーシ)が2軸か3軸かによって輸送できる範囲(重量)が異なるので、注意が必要です。
ドライコンテナ
一般貨物輸送に使用されるコンテナで、サイズは20フィート、40フィート、40フィートハイキューブ、45フィートの4種類があります。
多品種の貨物輸送に使用できるコンテナとして普及しているメインのコンテナです。
45フィートのコンテナは日本では馴染みのない規格で、主にアメリカ航路で使用されています。
<サイズ>
(20FT)外寸:縦6,058mm 横2,438mm 高2,591mm / 内寸:縦5,867mm 横2,352mm 高2,385mm
(40FT)外寸:縦12,192mm 横2,438mm 高2,591mm / 内寸:縦12,032mm 横2,352mm 高2,385mm
(40FT-HC)外寸:縦12,192mm 横2,438mm 高2,896mm / 内寸:縦12,000mm 横2,350mm 高2,690mm
<コンテナ重量(平均)>
(20FT)2,000kg
(40FT)3,300kg
(40FT-HC)3,600kg
<最大積載重量(コンテナの自重を含む)>
(20FT)2軸車輌:20,320kg(積載重量:18,320kg) / 3軸車輌:24,000kg(積載重量:22,000kg)
(40FT)2軸車輌:24,000kg(積載重量:20,700kg) / 3軸車輌:30,480kg(積載重量:27,180kg)
(40FT-HC)2軸車輌:24,000kg(積載重量:20,400kg) / 3軸車輌:30,480kg(積載重量:26,880kg)
リーファーコンテナ
温度管理ができるコンテナで果物や野菜、肉・魚といった生鮮食品などの輸送に使用されます。
サイズは20フィート、40フィート、40フィートハイキューブの3種類です。
ドライコンテナに比べて、外寸と内寸の差が大きいのが特徴です。
<サイズ(目安)>
(20FT)外寸:縦6,058mm 横2,438mm 高2,896mm / 内寸:縦5,450mm 横2,292mm 高2,580mm
(40FT)外寸:縦12,192mm 横2,438mm 高2,591mm / 内寸:縦11,574mm 横2,256mm 高2,235mm
(40FT-HC)外寸:縦12,192mm 横2,438mm 高2,896mm / 内寸:縦11,618mm 横2,286mm 高2,507mm
<コンテナ重量(平均)>
(20FT)3,000kg
(40FT)3,800kg
(40FT-HC)4,300kg
<最大積載重量(コンテナの自重を含む)>
(20FT)2軸車輌:20,320kg(積載重量:17,320kg) / 3軸車輌:24,000kg(積載重量:21,000kg)
(40FT)2軸車輌:24,000kg(積載重量:20,200kg) / 3軸車輌:30,480kg(積載重量:26,680kg)
(40FT-HC)2軸車輌:24,000kg(積載重量:19,700kg) / 3軸車輌:30,480kg(積載重量:26,180kg)
オープントップコンテナ
屋根が開閉できるタイプのコンテナ。
サイズは20フィート、40フィートの2種類で、クレーンなどを使うと上部から荷役ができるため、かさばる貨物や特殊な形状の貨物輸送に向いています。
<サイズ>
(20FT)外寸:縦6,058mm 横2,438mm 高2,591mm / 内寸:縦5,898mm 横2,352mm 高2,342mm
(40FT)外寸:縦12,192mm 横2,438mm 高2,591mm / 内寸:縦12,032mm 横2,352mm 高2,385mm
<コンテナ重量(平均)>
(20FT)2,300kg
(40FT)3,800kg
<最大積載重量(コンテナの自重を含む)>
(20FT)2軸車輌:20,320kg(積載重量:18,020kg) / 3軸車輌:24,000kg(積載重量:21,700kg)
(40FT)2軸車輌:24,000kg(積載重量:20,200kg) / 3軸車輌:30,480kg(積載重量:26,680kg)
フラットラックコンテナ
側面部分(左右の長辺)がないコンテナ。
主に大型貨物を輸送するために使用されます。
サイズは20フィート、40フィートの2種類で、ドライコンテナやオープントップコンテナでは対応できない場合に使用するケースがあります。
メーカーによってサイズが異なります。
<サイズ(目安)>
(20FT)外寸:縦6,058mm 横2,438mm 高2,591mm / 内寸:縦5,940mm 横2,150mm 高2,230mm
(40FT)外寸:縦12,192mm 横2,438mm 高2,591mm / 内寸:縦12,040mm 横2,380mm 高1,960mm
<コンテナ重量(平均)>
(20FT)2,790〜3,100kg
(40FT)5,300〜6,200kg
<最大積載重量(コンテナの自重を含む)>
(20FT)30,000〜35,560kg(積載重量:27,210〜32,460kg)
(40FT)45,000kg(積載重量:39,700〜38,800kg)
梱包仕様と積載効率の関係
コンテナサイズに満載で輸送することは現実的に困難で、通常は段ボールや木箱、パレットなどを使用します。
その際、それぞれ梱包された貨物の容積は梱包仕様に比例して大きくなるので、コンテナの内寸に対してどれくらい積めるかが変わってきます。
特にFCLの場合はコンテナ1個あたりの運賃計算となるので、積載数量の違いが長いスパンで見た時の輸送コストに大きく影響します。
自社貨物へのダメージのリスク
貨物をコンテナに積み込む(バンニング)する際、木箱やパレットを使用する場合はリフトを使って貨物をコンテナへ積み込みます。
パレットなしでコンテナへ貨物を積み込む(直積み)場合は手荷役となります。
手荷役で、しかも貨物に触る回数が増えると、貨物へダメージを与えるリスクが高まります。
特にLCLは混載となるので、途中の作業回数も増え、更にハイリスクになりがちです。
また、海外の作業員は質があまり良くないケースも考えられるので注意が必要でしょう。
コンテナ輸送で注意すべき点
先述したとおり、貨物の保全性という点ではLCLよりもFCLに軍配が上がります。
ほかにも、スケジュールの点でもFCLの方がLCLより優れているケースが殆どです。
貨物を混載するLCLは途中で港へ何度も立ち寄る(仕向け地により異なる)のに対し、FCLは目的地へ直行できるため、スケジュールに遅延などが出づらくなります。
しかし、当然ながらコスト面では割高になりがちなので、何を優先すべきかを決めておくと良いでしょう。
ドレーについて知っておく
ドレーとは、保税地区内のCY(コンテナヤード)と倉庫や工場などの指定場所との区間を行き来するコンテナの陸上輸送を指します。
一部の会社ではドレー部署なども設けているようですが、そうでない場合には専門のドレー会社に予約する必要があります。
ドレー料金は各会社によって定められたタリフ(料金表)をもとに、出発地点から輸送先までの往復距離を基準に計算されます。
ここで念頭においておくべき点として、ドレーの車両やシャーシ(コンテナを載せる部分)・ドライバー不足などの問題が深刻化している点についてです。
最近ではコロナ禍の影響による輸出入の低減で、比較的余裕がある状況といえますが、根本的な問題はいまだ解決に至っていない状態です。
例えば、何らかのトラブルにより船の到着が遅れた場合に、着港する港によってはすぐに次のドレーを手配するのが困難でしょう。
そうなると港でコンテナの保管料が余計にかかったり、コンテナそのものの延滞料金が発生する場合があります。
そういった背景を踏まえた上で、スケジュールに余裕を持ってドレーを手配することがリスク削減につながります。
急なアクシデントに備える
海上コンテナ輸送では輸送後の貨物にダメージがあったり、コンテナの状態が輸送前よりも悪くなっているなどといった、様々なアクシデントが起こりうることが想定できます。
そのため、事前に問題が発生した際の責任の所在を明確にし、事後のトラブルを防ぐための対策を取っておくことが大切です。
例えば、貸し出し前のコンテナの状態を示した
●EIR(Equipment Interchange Receipt/機器受渡書)
積み込み時の貨物の状態を記録した書類
●Tally Sheet(タリーシート)
輸出入の引き渡し条件にこういった書類を交わしておくことで、トラブルが発生した際に責任の所在を明確にすることができます。
特にLCLを利用する場合には作業工程が増えるため、その分アクシデントに繋がる確率も上がるので、万が一のための事前対策を打っておくことに損はないでしょう。
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まとめ
一社でコンテナを仕立てるFCLに対し、複数の荷主の貨物を混載するLCL。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、海外輸出入において何を重視しているのかを判断し、自社のスタイルに合った輸送方法を選択しましょう。
また、ドレー問題やアクシデントが起こった際の責任の所在についても事前に頭に入れておくことが大切です。
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