物流基礎知識 輸出・輸入

複合一貫輸送とは?わかりやすく解説

コンテナ輸送は、貨物を効率的かつ安全に輸送するために考えられた輸送形態で、なおかつ荷役効率も優れているため、手積みで荷役が行われていた以前の定期船(在来船)と比べて、圧倒的に現代社会のニーズにマッチしており、いまや世界中でコンテナが普及しています。

それに伴い現在日本をはじめ世界中の多くの国では、輸出や輸入を行う際の輸送方法として、コンテナ輸送が主に取り入れられており、主要航路全体のコンテナ化が進んでいます。

コンテナはそのままの状態で異なる輸送機関に積み替えることも容易にできるため、複数の輸送方法を複合させた、複合一貫輸送(国際複合輸送)といった輸送形態も今では主流となっています。

そこで今回の物流手帖では、複合一貫輸送(複合輸送)についてご説明していきます。

※本記事は2023年10月時点の情報をもとに作成しています。

 

複合一貫輸送とは

複合一貫輸送(国際複合輸送)は、単一の運送人が船舶や航空機、鉄道などの輸送方法のうち2種類以上を組み合わせて、一貫した責任を持つ輸送形態で、請け負う運送人のことを複合運送人といいます。

運賃は、あらゆる輸送形態の組み合わせが可能な点から、仕向け地も荷主の要望に応えるケースが多く、双方の取り決めでそのつど設定されています。

複合一貫輸送が発展した背景としては、冒頭でも述べたようにコンテナ輸送が普及したことによるもので、異なる輸送形態で運び込まれた貨物を別の輸送形態に積み替える際に、そのままの状態でスムーズに移行できる点などがあげられます。

 

主要ルート

複合一貫輸送の代表的なルートとしては、以下の航路などがあげられます。

 

①ALB:アメリカン・ランド・ブリッジ(American Land Bridge)

日本から北米西海岸まで海上輸送を行い、そこから北米東海岸までの陸路を鉄道またはトラックで輸送し、再び海上輸送でヨーロッパまでを結ぶ航路

 

②MLB:ミニ・ランド・ブリッジ(Mini Land Bridge)

日本から北米西海岸まで海上輸送を行い、そこからの陸路を鉄道またはトラックで輸送して北米東海岸、メキシコ湾岸までを結ぶ航路

 

③SLB:シベリア・ランド・ブリッジ(Siberian Land Bridge)

シベリア鉄道を利用して日本とヨーロッパ、中東エリアを結ぶ航路

 

④IPI:インテリア・ポイント・インターモーダル(Interior Point Intermodal)

日本から北米西海岸まで海上輸送を行い、そこから北米内陸部を結ぶ航路

 

利用運送事業者

複合一貫輸送を行う複合運送人は、船会社や航空会社など自らの輸送機関を用いて輸送する業者のほかに、利用運送事業者(NVOCC)が行うケースも多くあります。

利用運送事業者(NVOCC)はNon Vessel Operating Common Carrierといい、自らは輸送手段を持たずに各運送事業者を手配し、運送人として荷主と取引を行う事業者のことをいいます。

複合一貫輸送が出始めた当初は、主に船会社が引き受ける形でサービスが発達していき、主要航路のコンテナ化の進展に伴って、港から内陸地まで一貫した輸送体制を提供するようになりました。

そこから港や空港までの航路をはじめ、内陸地の納品先まで輸送形態の組み合わせのニーズが多様化していき、船会社以外の利用運送事業者(NVOCC)などが参入するようになったとされています。

 

運送証券

運送証券とは、貨物を受け取り、仕向け地までの輸送を請け負って、貨物の引き渡しを行うことを約束する証券のことで、複合一貫輸送を船会社が請け負う際は、通常の受取船荷証券(Received B/L)や複合運送証券(Combined Transport Bill of Lading)を使用します。

日本の利用運送事業者(NVOCC)が発行する場合は複合運送証券を使用しますが、証券の様式や機能は通常のB/Lと同じような内容になっています。

 

まとめ

今回は複合一貫輸送(複合輸送)についてご説明しました。

コンテナ輸送は一度に大量の貨物を輸送することができるだけでなく、荷役の効率も良く、輸送時におけるダメージも少ないため、輸出や輸入といった貿易取引の際に広く利用されている輸送形態の一つです。

また海路から陸路に移行する際などの手間も容易に行うことができるので、より荷主のニーズに応えることができる複合一貫輸送といった形態の輸送サービスも普及してきました。

そのほかにも海外へ貨物を輸送する方法は様々ありますが、詳しくは以下の記事でご説明していますので、ぜひご参考ください。

 

参考海外へ貨物を輸送する方法について

日本から海外へ貨物を輸出 ...

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