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航空貨物輸送の特徴、LCLと比較する際の基準について

2020年11月2日

国際貨物輸送をする際には、航空貨物輸送と海上貨物輸送の2パターンがあります。

航空貨物輸送は基本的に混載であり、少量で高価な貨物を速やかに輸送するのに適している一方、海上貨物輸送(なかでもLCLと呼ばれるコンテナをシェアするタイプ)には効率的に大量輸送ができるという面があります。

この記事では、国際貨物輸送をする際に航空貨物輸送と海上混載サービス(LCL)の「どちらを選択するとより効率的か」をご説明します。

 

航空貨物輸送についてまず知っておくこと

経済の国際化や製造業の海外展開(グローバル・サプライチェーン)にともなって、航空貨物輸送でも数量や品目が変わってきています。

もともと航空貨物輸送は携帯電話に使用される部品をはじめ、少量で高価なものを輸送する際に主に利用されていました。

しかし、従来は航空貨物輸送を利用していた貨物(生産に係る部品など)でも、輸送コストの軽減やCO2対策をはじめとする環境保護の観点などから、海上貨物輸送へ移行しつつあるのが現状です。

ただし、現在の製造・生産工程においては、Just In Time(JIT)方式といった「必要なものを必要な時に必要なだけ生産する」システムが一般的で、この方式に使用される貨物は航空貨物輸送を利用する場合が多いです。

そこで、航空貨物輸送を請け負う航空会社では、問題視されている環境面への配慮を高める活動を推進し、環境負荷の低い次世代燃料の研究開発や廃棄物の削減・リサイクル、最新型航空機の導入などの取り組みに力を入れています。

 

航空貨物輸送の活用例

一般的に航空貨物輸送が利用されているケースは大きく以下の4つに分かれます。

・デジタルカメラなどの映像機器、半導体をはじめとする電子部品の高付加価値品
・季節物や商品のライフサイクルが短い貨物(アパレル品や電子ゲーム機関連など)
・生鮮品、花類、果実といった鮮度を要求される貨物(代表的な貨物は生マグロ)
・製薬品、商品サンプル、少量品、緊急貨物など

いずれも貨物ダメージやリードタイムが求められるものが中心で、少量で高価な品物や鮮度が問われるものが航空貨物輸送に適しているといえます。

 

輸送の流れと特徴

これまでの項目でもお伝えした通り、航空貨物輸送は少量で高価なもの、または鮮度が問われるものを扱うのが基本ですが、コストの関係などで海上貨物輸送で運べるものは海上貨物輸送に移りつつあります。

大きな違いとして、航空貨物輸送を利用する最大のメリットは輸送のスピード感。

旅客機を利用した経験がある方はご存知かと思いますが、直航便であればヨーロッパやアメリカ大陸への運航も10数時間で到着することができます。

また仕向け地によって乗り継ぎ便を利用した場合も、ほとんどの国へ2~3日で到着させることが可能です。

一方、海上貨物輸送を利用した場合は中国をはじめとしたアジア圏でも最低10日~2週間ほどかかるのが通常です。

航海のみなら5日前後で到着することも可能ですが、実際には通関や荷役(航空輸送でも必要)などの日数もカウントする必要があり、一般的にスピードを要する航空貨物輸送と違って手続きにかかる所要日数も長いので、輸送にかかる時間差の分と合わせるとそれだけ日数がかかってしまいます。

このように海上貨物輸送は、コスト面や一度に大量に輸送できる点では優れているものの、スピード面では圧倒的に航空貨物輸送が優勢といえます。

続いて、航空貨物輸送の一般的な流れについて見ていきましょう。

輸出時の流れ

1、輸出者から貨物を集荷する
2、航空代理店などの倉庫(保税地域)に積み下ろしする
3、荷物ごとに航空代理店が輸出通関をする
4、許可が下りたら、専用のコンテナ(※ULD)に積み込む
5、コンテナをターミナルへ移動
6、航空機(※旅客機もしくは貨物機)に積み込む

※ULD(Unit Load Device)とは
航空貨物輸送を利用する際は、ULD(Unit Load Device)と呼ばれる貨物輸送専用のコンテナを利用します。

ULDは貨物を簡単に航空機に積み下ろしできるもので、海上貨物輸送で利用する際のコンテナとは形状が異なります。

※旅客機もしくは貨物機
航空貨物輸送では、私たちに馴染みのある一般の旅客機に貨物を積み込むケースと輸送に特化した貨物機に積み込むケースの2通りがあります。

機体によって搭載できる重量や危険物などの輸送制限が異なり、旅客機に積み込む場合の方が厳しく設定されています。

輸入時の流れ

1、到着した航空機からULDごと貨物を降ろす
2、ULDを空港の保税蔵置場へ運び、貨物を取り出す
3、取り出した貨物を輸入上屋へ搬入する
4、混載貨物と個々の貨物を確認する
5、輸入申告手続きを行う。許可が下り次第、指定の場所へ貨物を配送する

海上貨物輸送との違い

航空貨物輸送には『Air Waybill』(以下AWB)と呼ばれる書類が必要となります。

これは旅行時に必要な航空券や宅配便の伝票と似た役割を持っていて、貨物の運送契約が結ばれたことを示す証拠書類にあたります。

一方、海上貨物輸送では『Bill of lading』(以下B/L)が必須となります。

B/Lとは、日本語では『船荷証券』と呼ばれるもので、こちらも貨物の証拠書類です。

このようにほぼ同じ役割も持っている一方で、決定的な違いは「有価証券の役割を果たすか否か」です。

B/Lは書類の所有者が貨物の所有権を持ち、書類を譲渡するとそれが貨物の譲渡となりますが、一方で、AWBは航空会社での「貨物の受領証」に過ぎないので、書類の取り扱いには十分注意しましょう。

関連記事:
『貿易書類 B/L Bill of Lading 船荷証券の取り扱いかた』

 

輸送運賃について

国際貿易における輸送運賃は、航空貨物・海上貨物輸送ともにタリフレート(Tariff Rate)と呼ばれる評定運賃で定められていて、航空の場合は国際航空運送協会(IATA)、海上では海運同盟(Shipping Conderence)によってそれぞれ規定されています。

外部リンク:
『国際航空運送協会(IATA)』

タリフレートは重量を基準に設定されていて、実重量(実際の荷物の重さ)と容積重量(体積から換算する重さ)を比較した重い方を基準とし、そこに航空レートを掛け合わせると、輸送運賃を算出することができます。

賃率適用重量(Chargeable Weight)

実重量と容積重量を比較する際にはそれぞれの単位を統一する必要があります。

容積から重量を計算する方法は以下の通りで、そこから導き出された「重い方」の重量が賃率適用重量(Chargeable Weight)となり、運賃輸送を計算する際の基準として用いられます。

※航空貨物と海上貨物では計算の方法も異なります。

航空貨物:
縦(cm) x 横(cm) x 高さ(cm) x 個数 ÷ 6000cm3(または5000cm3) = 容積重量(kg) を実重量と比較する。

海上貨物:
1、縦(m) x 横(m) x 高さ(m) x 個数 = 全体の容積を算出。
2、全体の容積から 1m3 = 1t (1000kg) で容積重量(t)を割り出し、実重量と比較する。

上記の式からも解る通り、航空輸送ではキロ単位、海上輸送ではトン単位で計算します。

注)5000m3と6000m3の違いについて
航空貨物は国際航空運送協会(IATA)が6000cm³=1kgと定めていますが、企業によっては5000cm³=1kgを採用する場合がある。

 

航空貨物輸送とLCL、どちらで運ぶべきなのか

貨物重量と納期を目安に総合的に判断する

効率的な国際貨物輸送を行なうためには「貨物重量」と「納期」に注目する必要があります。

一般的に貨物重量の目安は、100キロ以内の貨物は航空貨物輸送、それ以上は海上混載サービス(LCL)と判断するのが良いでしょう。

ただし、航空貨物輸送と海上貨物輸送では輸送スピードが大きく異なるため、納期やリードタイムなどに応じて総合的に判断をすることが大切です。

また、コスト面でも海上輸送が確実に安価というわけではないため、双方の料金をしっかりと計算した上で比較・検討するのが望ましいでしょう。

海上混載サービス(LCL)についての記事はこちら

関連記事:
『【輸出入】FCLとLCL(海上コンテナ輸送)の予備知識』

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