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関税とは?国際物流との関係や誰が支払うのかについて解説

多くの国では、一定の条件を満たす輸入品に対して免税措置が設けられており、その免税範囲を超えた場合には関税が課せられます。

関税は、貿易を行う取引の主体者やそれらに関わる物流業者から消費者にいたるまで、幅広く影響を与える税金のうちの一つです。

今回の物流手帖では、関税の意味や税率の種類、国際物流との関係、また関税は誰が支払うのかについてご説明していきます。

※本記事は2025年4月時点の情報をもとに作成しています。

関税の意味や税率の種類について

関税(かんぜい)とは、輸出または輸入品に対して課される税金のことです。一般的には、輸入品に対して関税が課されることがほとんどですが、一部の国または経済的な政策などによっては、輸出品に対して関税が課されるケースも稀にあります。

原則として、関税にかかる税率(関税率)は、それぞれの国が主権に基づいて独自に決定することができます。これは各国が自国の産業を保護することが目的とされており、また財政収入を確保する上で重要な権限であると考えられているからです。

関税率の形態は、課税の方式や目的ごとに様々な種類があります。

日本においては、大きく分けて、法律によって定めらている国定(こくてい)税率と、条約に基づいて定められている協定税率があります。

国定税率は、日本国内の法律(関税定率法、関税暫定措置法など)に基づいて定められた税率のことで、そのうち輸入品に適用される基本的な税率を基本税率、特定の期間や状況において基本税率に代わって一時的に適用される税率を暫定税率といいます。

また国定税率には、開発途上国や地域からの輸入品に対して適用される特別な税率が定められています。

この税率を特恵(とっけい)税率といい、これは定められた条件を満たした場合にのみ認定される税率で、通常の実行税率(上記の国定税率および協定税率とその他の税率)よりも低い税率が設定されています。

協定税率は、他の国や地域との条約や、貿易に関する協定などに基づいて定められた税率のことで、協定税率が国定税率よりも低い場合に適用されます。

このように輸入する品物にどの税率が適用されるのかは、相手国や地域、さらに品種や物量によっても異なるため、正確な税率を確認するには専門業者に依頼するか、管轄の税関に問い合わせを行いましょう。

税関のHPでは、最新の実行関税率表(品目ごとに記された関税率の表)が公開されているので、関税率表をもとに詳しく確認することもできます。

関税と国際物流の関係

関税は、国際物流において重要な要素のうちの一つとされています。これは輸入した貨物を引取る際に、通関手続きを行う必要があるためです。

通関手続きとは、簡単に説明すると、輸入申告をした貨物に問題がないかの審査や検査を行ったり、申告内容に間違いがないかを確認し、確定した輸入にかかる税金(関税や消費税など)を納めることで、輸入許可を受ける一連の手続きのことです。

通関手続きを行うには、HSコード(国際的に統一された貿易の対象となる商品の分類を番号で表したコード)の確認や適切な書類の準備から、税関とのやり取りなどの専門的な知識と経験が求められます。

その際、関税の仕組みや税率が複雑であれば、手続きにかかる業務も煩雑になり、その分の時間とコストが余計にかかってしまいます。

物流の観点からして、国際物流において全体のリードタイムを意識することは必須であるため、通関手続きに時間がかかってしまうと、配送にかかる工程が長期化し、最終的にはビジネスへの影響を与えてしまう可能性が考えられます。

さらに、手続きに時間がかかってしまうと、輸入した貨物を保管するための保管料が加算される場合もあるので、迅速かつ正確に通関手続きを行うことは、国際物流において非常に重要な業務のうちの一つとされています。

貿易において関税は誰が支払うのか

貿易とは一般的に、国と国との間で取引される、商品やサービスの輸出または輸入を伴った売り買いや、それらに関連する経済活動のことをいいます。

関税は原則として、全ての輸入品に課せられる税金ですが、他国との貿易によって輸入された品物が、有形の商品である場合にのみ課される税金のため、サービス貿易や技術貿易などの無形の経済活動に関連した取引には関税はかかりません。

関税を納める必要がある納税義務者は、関連する法令に何らかの規定がない限り、貨物を輸入する者が責任を負うものとされています。

物流手帖では、これまで貿易に関する記事を度々取り上げていますが、貿易をスムーズに行うための取引条件として制定されている、国際的なルールのインコタームズには、売り手側(輸出者)と買い手側(輸入者)のそれぞれの義務や費用負担の範囲、リスク分担の範囲などが示されています。

先ほど関税を納める納税義務者は、原則として、輸入者であると記載しましたが、これはあくまでも法的な支払い義務者であって、実質的に誰がその経済的な負担を負うのか、という視点で考えると、インコタームズの取引条件次第で、輸出者がその一部または全部を負担する可能性もあるといえます。

そのほかに、関税を最終的に支払う(負担する)のは、輸入国側の消費者であるといった捉え方もできます。

これは昨今話題となっている、関税の引き上げなどが原因で税額が高騰した場合、その費用を実質的に負担する輸入者または輸出者に直接的な影響を与えるため、引き上げられた税額が仕入れ値の値上がりにつながり、最終的に販売価格に転嫁すると考えられるからです。

このように関税は誰が支払うのか、といった点は様々な視点から考えられることができるため、貿易に関わる輸出者と輸入者だけでなく、それらに間接的に関わる消費者などにも広く影響があるといえます。

まとめ

今回は、関税の意味や税率の種類、国際物流との関係、また関税は誰が支払うのかについてご説明しました。関税は一般的に、自国の産業を保護するために国によって定められた税金ですが、その影響は多岐にわたるため、貿易においても取引に関わる重要な要素の一つであり、関わり合いが深いとされています。

関連記事として以下の記事では、インコタームズについて解説していますので、ぜひご覧ください。

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