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タイの物流に新たな倉庫管理システムを|SWMSとPMSの開発

2021年5月24日

前回の記事では、WMS(倉庫管理システム)の説明や導入の際のポイントについてご紹介していきました。

参考WMSとは?海外拠点(タイ)での導入事例を交えて詳しくご紹介

WMS(倉庫管理システム)は、生産業や物流業をはじめ様々な業種の現場で導入が進んでいる倉庫や物流センター内の情報管理システムです。 最近ではインターネットの普及や発展によって、システムの種類やサービス ...

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そこで今回は、タイの物流現場で実際に導入している倉庫管理システム(SWMS:Smart Warehouse Management SystemとPMS:Packing Management System)について、開発に至る経緯やシステム導入によって得られた効果など、ASUTO GLOBAL LOGISTICS (Thailand) CO., LTD.(以下AGLT社)の事例をもとにさらに詳しくご紹介していきます。

タイの物流事情について

現代社会の需要と供給において、サプライチェーンのグローバル化は必須とされています。

なかでも東南アジア圏はその中核を担っており、タイもそのうちの一つです。

タイは昔は農業が中心の国とされていましたが、現在では様々なメーカーや企業がタイに進出していて、首都バンコクや中心部では都会的な街並みが広がり高層ビルが立ち並んでいます。

また現在のタイでは様々な分野でデジタル化が進んでおり、Thailand 4.0と呼ばれる自動車産業や医療、食品、バイオテクノロジー、農業などの次世代イノベーションを目的とした経済戦略が国の政策として掲げられていて、その中には物流(ロジスティクス)も含まれています。

このように先進国のイメージに近しいタイですが、微笑みの国としても知られているように現地の人々は穏やかで楽観的な人が多く、マイペンライ(英語で言う「Don’t Mind」や日本語の「気にしない」と同様のニュアンス)という言葉が象徴するような「失敗しても何とかなるだろう」といった精神が国民性を表しています。

タイの倉庫や物流センター

タイは南北に伸びた縦長の国で地方エリアでは、北のミャンマーやラオスの国境付近から南のマレーシア近郊まで、各エリアに自動車産業や食品関係、または精密機械の製造関係など様々な工業団地が広がっています。

それらの工業団地と都心部、そして空港や港をつなぐ橋渡し役として物流倉庫も各地に点在しています。

倉庫や物流センター内では前回の記事でもご紹介したように、手元で行う細かい作業から大型の機械を使った作業まで幅広く行われていますが、日本と同様にタイでも倉庫内のオペレーションにはシステムを導入しているところが多く、デジタル化が進んでいます。

独自の倉庫管理システムを開発するまで

当初、AGLT社では別の倉庫管理システムを導入していました。

ですがタイでは、上述の通りシステム自体の導入は進んでいるものの、それらを開発している企業が少なく、既存のシステムには様々な課題が見受けられました。

なかでも当時流通していたシステムは生産管理や販売管理がメインのものが多く、あくまでもサブ的な要素として在庫管理システムが付随しているようなイメージが主流でした。

特に問題視していた点は、ピッキングにおいての正確性が不十分で、過不足などのミスが発生した際にタイムリーにミスを修正し即時に対応することが困難な点でした。

また他の在庫管理システムとの互換性も高くなく、顧客(荷主)ごとに違ったシステムを使用している場合の対処も複雑でした。

そうした背景から自社のシステムの問題や課題を解決すべく、独自の倉庫管理システム(SWMSとPMS)を開発することになったのが始まりです。

SWMSとPMSの特徴

システムの基本的な流れは、入庫があった際に顧客(荷主)ごとに専用のラックや容器を割り当てて保管し、その後に行われる作業手順や工場ラインの通りに商品の順番を積み替えて納品を行います。

こうすることで順序引きに合った納品体制を確保することができます。

またラックや容器にはQRコードが付いていて、コードを読み込むと保管先が表示されるのでロケーション管理にも役立ちます。

さらにシステム上では、業種業態にこだわらずに管理期限(キー項目)を設定することができるので、JIT納品(ジャストインタイム)などの物流最適化にもつなげることも可能です。

その他にも入出庫・在庫実績やFIFO(先入れ先出し)管理やロット管理、入荷日・製造年月日などの期限管理・作業進捗管理など倉庫管理に必要な機能が備わっています。

操作する人や作業環境全体を視野に入れた設計

システムの特徴として特筆すべき点は、現場で使用する作業員に適したシステムすなわち「タイの人々に合ったシステム」であるという点です。

そのため開発の際には「分かりやすさ」と「使い慣れている機械を導入すること」に目が向けられ、その機能がシステムに組み込まれました。

まず一つ目のポイントである「分かりやすさ」というのは、一般的にシステムのUI(言語や操作性など)が重要と考えられますが、さらにそこに人為的なミスも考慮する必要があると考えられました。

その理由は倉庫や物流センター内では同じ作業を繰り返し行うことがほとんで、そんななか常に集中力を維持することが困難だからです。

また緻密なシステムで細かく設定してしまっても、タイの方々には扱いづらくなってしまう可能性もありました。

そこでシステムに連動する大型のモニターとスピーカーを設置し、確認動作に五感を使うオペレーションを組み込むことで、商品の違いを判別しやすくし、エラーがあった際にはスピーカーで大きな音声を流すことでミスを発見しやすい環境に構築されました。

二つ目のポイントとしては、スマートフォンで操作ができるシステムなのでタイの人々にも使いやすい仕様になっていることです。

これは固定電話の文化がない、普段から携帯電話やスマートフォンをよく利用している国だからこその考え方ともいえます。

このように機械やシステムを操作する人にも目を向けることで、ミスをしづらい作業環境を作ることに成功し、実際に導入後からは一度もミスが発生することのない状態が今も継続しています。

タイで倉庫管理システムの導入をご検討の方へ

SWMSとPMSは自社で使用することを目的として開発がされましたが、現在はタイで物流に携わる様々な企業やメーカーの皆さまにもご利用いただける、汎用性の高いパッケージシステムとなっています。

システムにご興味のある方は、下記のお問い合わせフォームまでご連絡ください。

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株式会社アスト中本 グローバル・ロジスティクス統括部
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