海外から個人輸入などをしたときに必ず登場するのが「通関」「税関」「関税」という言葉、聞き慣れている様で意外にその違いを知らないものです。
通関とは、日本から海外に、海外から日本に荷物が送られてくる輸出入の許可を得る手続きで、税関は通関業務を行なう国の行政機関です。
関税は輸入品に掛かる税金を指します。
このように漢字一文字違いでありながらも意味は大きく違い、それぞれに深い関わりがあります。
そこで今回は「通関」の手続きについて詳しくご紹介します。
通関の意味と目的
国際貿易を行なう際の決まりごと
通関とは輸出入の際に税関官署に許可を得る手続きです。
具体的には、貨物の品名、種類、数量、価格などを申告し、検査を受けた後に輸入の場合は関税、輸入消費税等を納付することで税関から輸入の許可が得られます。
この手続きを行なわない、もしくは虚偽申告をして輸出入をした場合は密輸となります。
輸出入における通関手続きの流れと必要書類
輸出通関
輸出申告は、輸出しようとする貨物を保税地域に搬入することから始まります。
一般的に輸出申告書の添付書類として以下の書類が必要です。
①仕入書(インボイス)
②梱包明細書(パッキングリスト)
③該非判定書、他法令の許可、承認が不要という証明書
④関係各官公庁発行の許可書・承認書・証明書等
⑤通関委任状(初回通関依頼時)
輸入通関
輸入申告は、まず海外から到着した貨物を保税地域に搬入するところから始まります。
保税地域とは、関税・輸入消費税等の課税が留保された状態で外国貨物の一時的な保管が認められた場所であり、通関手続きをするための場所です。
次に、必要な書類を添付して輸入(納税)申告書を税関に提出します。
輸入貨物には関税・輸入消費税等が課税されるため、輸入申告と納税申告は同時に行なうことになります。
輸入申告書の添付書類には以下の書類が必要です。
①仕入書(インボイス)
②梱包明細書(パッキングリスト)
③船荷証券(または航空貨物輸送証)
④保険料明細書(CIFの場合は不要)
⑤運賃明細書
⑥包装明細書
⑦通関委任状(初回通関依頼時)
<貨物の種類によって必要な書類>
(a) 他法令の許可・承認証(植物防疫法などの関税関係法令以外の法令による許可・承認が必要な貨物の場合)
(b) 原産地証明書(特恵関税の適用を受けようとする場合は、一般特恵制度原産地証明書様式Aが必要)
(c) 減免税明細書(減免税の適用を受けようとする場合)
※輸入消費税
通常の消費税の納税義務者は事業者に限られますが、輸入消費税はその輸入品を引き取る者が納税義務者(輸入者)となります。
なお、一般貨物または郵便小包を利用した場合で、課税価格の合計額が20万円以下の場合には、少額輸入貨物として一般の関税率とは別に定められた簡易税率が適用されます。
※インボイス
送り状。売買契約の条件を履行した旨を売主が買主に証明するために発行する書類で、取引条件や貨物明細を記載した計算書。
輸出入の通関時に必要な書類で、納品名、数量、金額、輸送範囲と方法、出航時期を記載します。
この書類は請求書であり、英語表記が基本です。
※パッキングリスト
梱包明細書。梱包方法、梱包数、重さ、容積(サイズ)、貨物数量の記載が必要。
この書類の目的は、貨物の積み下ろしや、受け渡しをスムーズに行なうことが主な目的です。
梱包ごとのショッピングマークと書類への記載が貨物確認になるため、正確な記載が求められます。(英語表記が基本)
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スムーズに手続きを行なうための様々な制度
輸入貨物を早く受け取る方法や関税等の納付期限を延長したい場合
税関での手続きを円滑に進める様々な制度
1、輸入する前に貨物の税率を知りたい。
2、輸入する前に貨物の関税評価上の取扱いを知りたい。
3、輸入する前に貨物の原産地の取扱いを知りたい。
4、輸入する前に貨物の減免税の適用の可否を知りたい。
5、到着した輸入貨物をできるだけ早く引き取りたい。
6、輸入許可後に納税したい。
7、輸出入する貨物について、リードタイムを短くしたい。
8、税関手続きを詳しく知りたい。
出典:税関ホームページ
自社通関と代行サービスどちらを選ぶべきか
手間やリスク、コスト面などを総合的に判断
通常、税関への輸出入申告は通関業者に任せるのが一般的です。
しかし、個人事業主や立ち上げて間もない法人などは、ロット数が少なく、代行業者への費用を賄うことが難しい等の理由で、自社通関を行なうケースがあります。
この自社通関で手続きを進める場合と、通関業者に依頼する場合では、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
メリットは、費用節約と輸入のノウハウが蓄積できる2点です。
通関業者に依頼をすると、通関業法で定められた通関手数料(11,800円)や取り扱い手数料(10,000円)などの諸経費がかかります。
デメリットは、書類の処理が面倒であったり、配送業者や関連機関との調整が必要な点です。
通関業者からの関税立替も受け取れません。
また素人目に通関は煩雑な仕組みと言えます。
自社の商品がどの実行関税率表に該当するかの確認や、輸入貨物を受け取るための手続き(D/O処理)、混載便やドレー会社などの国内関係諸機関、輸入検査機関などとの調整も滞りなく行わなくてはいけません。
輸入申告においての分類ミスにも注意が必要です。
さらに手続き上でも自社通関には不利な条件があります。
現在、通関業務においては「NACCS」というシステムを使用した電子申告が主流となっています。
電子申告は、通関業者の専用システムからアクセスする必要があり、一般の輸入者が電子申告をする場合は通関業者に申告手続きを依頼することになります。
煩雑な手続きに加え、結局のところ電子申告の場合は通関業者に頼ることを考えれば、餅は餅屋と言う様に、費用対効果をみても専門家に依頼するのが一番なのかもしれません。
通関手続きに関するご相談窓口
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