国内または海外の企業や店舗と物品のやり取りに関わる商的な取引を行う際には、それぞれの利用シーンに合わせた輸送方法で商品を届けることになりますが、現在は物流サービスが発展・普及しているため、たとえ国内であってもその手段は様々です。
そこで今回の物流手帖では、国内または日本から海外へ物品を輸送する方法やそれぞれの利用シーンについて、わかりやすくご説明していきます。
※本記事は2023年2月時点の情報をもとに作成しています。
海外に輸送する方法
日本は島国のため海外へ物品を輸送する場合は、必ず「海上輸送」もしくは「航空輸送」さらには「国際複合輸送」といった主に3つの方法を利用して物品を輸送することになります。
海上輸送
海上輸送とは船舶を使用した輸送方法のことで、場合によっては海上貨物と呼ばれることもあります。海上輸送は一度に大量の貨物を海外へ運ぶことができ、さらに運賃も割安な点が最大のメリットです。
海上輸送で使用されている船の種類は様々あり、形態もその種類によって異なります。ここでは海上輸送で使用されている船の一部をご紹介します。
・ドライバルク船
鉄鉱石や石炭、木材などの資源や小麦、大豆といった穀物類、塩など様々な固体の原材料を「バラ積み」と呼ばれる梱包をせずに直接積み込む方法で輸送する船。
輸送する貨物の種類や輸送量によってサイズや船の構造が変わります。
・タンカー
原油や石油精製品などの液体を輸送する船。油槽船とも呼ばれています。
輸送する貨物の種類によってタイプや構造が異なり、それぞれに名称が付けられています。
石油を輸送するタンカーは、オイルタンカーと呼ばれています。
・コンテナ船
コンテナと呼ばれる箱状の容器に貨物を積み込み、船倉や甲板上に積載して輸送する船。
コンテナのサイズや形状はISO規格に基づいて標準化されているので、コンテナ船の作りもコンテナを輸送するために最適な構造になっています。
主に食料品や日用品、アパレル製品や雑貨など様々な貨物が輸送されています。
このように海上輸送で使用されている船には様々なタイプがあり、どの船も輸送貨物に合わせて運びやすい構造で設計されています。
なかでも現在は一般的な貿易取引において、貨物を効率的かつ安全に輸送するために考えられた輸送形態として、そのほとんどがコンテナ船によって海上輸送されています。
コンテナ輸送には1本のコンテナを丸ごと借りて貨物を輸送する「FCL」と、複数の荷主の貨物を集めて1本のコンテナにまとめて輸送する「LCL」といった輸送サービスがあります。
貨物が入った実入りコンテナはコンテナターミナルと呼ばれる特別な設備が備わった港でコンテナ船に積み込まれますが、なかにはターミナルが備わっていない港もあります。
その場合は、コンテナ船が普及する以前に主に利用されていた「在来船」という船で輸送が行われます。
在来船で輸送される貨物は様々で、一般的な貨物やコンテナに加えて、コンテナに収まりきらないサイズや重量の貨物なども輸送されており、一部の船には荷役設備が備わった船もあります。
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航空輸送
航空輸送とは航空機を使用した輸送方法を指しており、航空貨物と呼ばれることもあります。
航空輸送の最大のメリットは何といっても輸送時間の短さにあります。
輸送時間が短いということは、それだけでリスク回避の確率が上がるため、海上輸送とは大きく異なる利点といえます。
航空輸送で使用される機体には、貨物専用機と旅客機があります。
旅客機の場合は便数も多く、様々な国に向けて運行されているため輸送ハードルは低いといえますが、貨物専用機は一部のエリア向けに限定されており、運行スケジュールも旅客機に比べて少ないため、旅客機に入りきらないサイズの貨物でかつ航空輸送で運ぶ必要がある場合などに利用されます。
航空輸送で運ばれる貨物は様々ですが、一般的には電子機器や部品、季節商品や生鮮品、果物、製薬品などサイズが小さく、少量で高価な品物などが運ばれています。
またクーリエやEMSといった、発送地点から最終的な配達先へ貨物を届けるまでの全ての費用が含まれた国際輸送サービスもあります。
クーリエやEMSは、運賃だけでなく通関費用なども含まれている点がポイントです。詳しくは以下の記事をご参考ください。
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国際複合輸送
国際複合輸送は国際複合一貫輸送とも言われ、陸・海・空のうち少なくとも2種類以上の異なる輸送手段を利用して行われる輸送方法のことです。
フォワーダーや船会社などの複合運送人による一元管理のもとで、区間ごとに輸送が行われます。
国際複合輸送のメリットとしては、単一のルートのみではなく様々なルートの輸送プランを選べる点や、ドア・ツー・ドアといった発地から最終的に貨物を届けたい場所まで一貫して輸送を行うことができる点などがあげられます。
また荷主は複合運送人との単一の運送契約のみで輸送ができるので、煩雑な事務関連の手続きや諸作業などの手間を省くことができます。
国内で輸送する方法
国内で貨物を輸送する場合は、海外へ輸送する場合と同じく海上、航空輸送に加えてトラックや鉄道といった陸路を使用した輸送方法が主に利用されています。
なかでもトラックを利用して輸送を行うケースが一番多く、一般的な貨物を運ぶタイプのトラックから特殊な貨物を運ぶタイプのトラックまで形態も様々です。
トラックで貨物を輸送する際には、チャーター便か混載便に分けられることが一般的です。
チャーター便とはトラックを貸切で輸送する方法のことで、一度に大量の貨物を輸送する場合や特殊な形状の貨物を輸送する際に利用されます。
混載便は配送先のエリアごとに集められた貨物を、さらに細かい地域や都市ごとに設けられた拠点や配送センターに分配してから個別に届ける方法です。
路線便とも呼ばれており、主に小口貨物が運搬対象となります。
また混載便と同じようなサービスに「共同配送」があります。
共同配送は、同一の配送先に複数の荷主の貨物を混載して1台のトラックをチャーターする仕組みで、前述の混載便(路線便)に比べて貨物の積み替えや経由地点が少なく済みます。
このように国内輸送の主軸を担うトラックですが、環境面においては二酸化炭素の排出量が多く、最近では「モーダルシフト」いった主要区間の輸送方法を鉄道や船に移行し、環境への負荷低減を行う取り組みが推進されています。
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まとめ
今回は国内または日本から海外へ物品を輸送する方法やそれぞれの利用シーンについてご説明しました。
輸送方法は、経済の発展やその時代の状況などに合わせて様々な仕組みが考えられ、サービスとして普及・活用されています。
また利便性だけでなく、環境面への配慮や輸送に関わる人手不足の問題などを考慮した仕組みも生み出されており、時代とともに進化・進歩しているといえます。
このように様々な輸送方法を知ることで、利用シーンに合わせた最適な手段で物品を運ぶことができるでしょう。
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