世界の物流事情

WMSとは?海外拠点(タイ)での導入事例を交えて詳しくご紹介

WMS(倉庫管理システム)は、生産業や物流業をはじめ様々な業種の現場で導入が進んでいる倉庫や物流センター内の情報管理システムです。

最近ではインターネットの普及や発展によって、システムの種類やサービス内容も多様になってきています。

そこで本記事では、WMSについてのご説明と導入の際のポイント、実際の導入事例(海外拠点:タイ)についてご紹介していきます。

 

WMS(倉庫管理システム)とは?

 

 

WMSは、Warehouse Management Systemの略で日本語では倉庫管理システムと呼ばれています。

WMSは倉庫や物流センター内で行う作業や情報をシステムで管理し、効率化することでヒューマンエラーの軽減や時間短縮、生産性の向上などにつなげるためのシステムです。

WMSが開発されたのはおよそ50年前の1970年代で、ERP(基幹システム)と同時期から活用されています。

当時はメインフレーム(汎用機)と呼ばれる大型のコンピューターで処理されていましたが、現在では急速なIT化の進歩によってパソコンやクラウドなどのインターネット上で機能したり、ハンディーターミナルやタブレット・スマホなどのデバイスとの連携も可能となり、システム活用の場を広げています。

 

倉庫内で行う作業を効率化するためのシステム

 

倉庫や物流センター内では、物流の5大機能と言われている「輸送・保管・荷役・包装・流通加工」のうち輸送以外の作業が主に行われていますが、具体的にどのような作業が行われているのでしょうか。

企業によって様々ではありますが、主に行われている作業内容は以下の通りです。

 

・保管について

保管自体の目的は預かった荷物や商品の品質を維持し保管・管理することですが、企業によっては生産状況や店舗での売れ行き状況などに合わせた在庫管理や数量調整が行われています。

また荷物や商品の大きさに合わせて保管場所を適切な位置に移動し、どこにどの商品が置かれているかを把握するためのロケーション管理や、パレットや専用のラックを使用した保管効率を高める工夫など様々な取り組みが導入されています。

設備面では、保管温度の調整が必要な商品(食品や化粧品、医療機器などの精密機械)のための定温設備など、どれも多品種の商品や顧客ニーズに応えるために考えられています。

 

・荷役について

トラックや船などの積卸し、入出庫作業、庫内の運搬、バンニング・デバンニング、ピッキングや仕分けなどの作業が行われます。

入出庫作業は手作業で行う場合とフォークリフトなどの専用の機械で行う場合があります。

 

・包装(パッケージ)について

包装はJIS(日本産業規格)でも定義されているように、商品の価値や品質を維持するために施す技術のことで、個装・内装・外装の3種類に分けられています。

一般的によく目にする包装は個装がほとんどです。

そのほかに国内外への輸送のための包装や、機械製品などを海外へ輸出する際の梱包(木製や鉄製の箱など)などがあります。

 

・流通加工について

流通加工は流通段階(生産過程)で施す二次加工やラッピングなど、商品の価値を引き上げる加工業務のことを指します。

加工内容は商品によって様々で、輸入品の日本語ラベル貼りやアパレル製品の検針、ハンガー掛けなど、納品時点で即店頭に並べることができる状態まで持っていく作業を行なったりします。

 

このように倉庫や物流センター内では、手元で行う作業から大型の機械を使った作業まで幅広く行なっており、さらに取り扱う商品も多く多品種なので、情報管理やオペレーション管理を全て人の手で行うことが極めて困難です。

 

そこでWMS(倉庫管理システム)を導入することで、細かい情報処理を全てシステム上で管理し、ヒューマンエラーの軽減や大幅な作業効率化に役立てることができます。

 

導入のメリット・デメリット

 

WMSを導入するメリットは、先ほども述べたように作業効率化やヒューマンエラーの軽減などが上げられます。

またシステムは同じ作業を繰り返し処理することに長けているので、誰が扱っても同じように動く「業務体制の標準化」にもつながります。

 

さらにWMSは荷主(保管している荷物の持ち主)にとってもメリットがあります。

インターネットを介せば、在庫情報(実在庫・洋上在庫)や貨物の追跡、受発注のオーダーまで場所を選ばずに利用できるものもあるので、物流の可視化「見える化」につながることが期待できます。

 

一方、デメリットとして上げられる点は導入費用がかかってしまうことです。

またWMSを提供している企業は数多くあるので、選定に手間がかかってしまう場合もあります。

 

こうしたデメリットを踏まえて、最近では導入の際のハードルを下げる比較的運用しやすいWMSのサービスが開発されています。

 

システム導入のポイント

 

 

まずは現状把握から

 

WMSのみならず新しいシステムを導入する際のポイントは、まずは正確な現状把握を行うことが大切です。

導入の背景や目的、予算、実際に作業現場で運用できるかどうかを入念に試算し、段階的に導入していくことをおすすめします。

 

またシステムの機能面についても、必要な機能の洗い出しを行うことでオーバスペックを避けることができます。

その際システムのセキュリティや拡張性、サポート範囲や内容などの非機能要件も細かく確認しておくと更に安心です。

 

システムの提供方法にも様々な種類がある

 

WMSは様々な種類があり、料金帯も幅広いので規模に合わせたシステムを導入・選定しましょう。

主な種類は以下の通りです。

 

・オンプレミス

自社サーバーの構築から完全オリジナルのシステム開発まで全て一から行います。

システムの管理や運用も自社で行う必要があります。最もカスタマイズ性に優れている反面、コストが高くなります。

 

・パッケージ

すでに完成されたソフトウェアをインストールしてシステムを使用します。

試験的な導入や必要な機能が全て備わっている場合は比較的簡単に導入することが可能です。

 

・クラウド

ASPやSaaSといった、インターネットおよびクラウド上で動作するシステム(アプリケーション)です。

サーバー管理やバージョン管理の必要がなく、月々の利用料を支払うことでシステムを利用することができる点が特徴です。

 

事例紹介 ~タイの物流倉庫で活躍!自社開発のWMS(SWMSとPMS)で作業効率UP~

 

 

では実際にWMSを導入することでどのような効果が得られるのでしょうか。

今回は過去の物流手帖の記事でも登場している、タイの物流拠点:ASUTO GLOBAL LOGISTICS (Thailand) CO., LTD.(以下AGLT社)が開発・運用しているWMS(SWMSとPMS)のケースをご紹介していきます。

 

事例紹介① ~開発・導入のきっかけ~

 

倉庫や物流センター内ではこれまでにもご紹介した通り様々な作業が行われるので、作業員の方々に肉体的な面(重い荷物を運ぶなど)と精神的な面(細かい作業を続ける集中力など)に負担がかかります。

また海外の工場や倉庫、物流センターの場合は、当然のことながら現地の方々を作業員として雇用するケースが多いので、国によって人々の性格や考え方が異なります。

なかでもタイの場合は微笑みの国として知られているように、比較的穏やかな気質の人が多く、ミスに対する認識や捉え方も異なるので、このような国民性を考慮した作業環境を整えることが重要になってきます。

そこで様々な国の人々や年齢の方が使用しやすい汎用性の高いシステムを開発し、グローバルサプライチェーン(生産工程のグローバル化)に役立つシステムを導入することになりました。

 

事例紹介② ~導入後に得られた効果・改善された点~

 

システムの特徴としてスマートフォン(Android)での操作ができ、言語も世界共通で理解がしやすい英語をベースに構築しているので、誰にでも扱いやすくオペレーションの簡略化につながりました。

またピッキングの際にQRコードの読み取りと連動してモニターで画像の確認ができたり、エラーコールの音声をスピーカーから流すことができるので、単純作業が続く場合の集中力の欠落を抑制する工夫が施されています。

システムを導入した結果として、導入から半年間の間のミスがゼロになり現在も効果が継続しています。

 

関連サイト:

『ASUTO GLOBAL LOGISTICS (Thailand) CO., LTD.』

 

まとめ

 

自社の環境に合ったWMSの導入を

 

WMSで作業を効率化し、作業の精度を上げることは顧客満足度(CS)の向上につながります。またシステムを導入することでデータとして自社が関わる物流の可視化を実現できるので、業務の改善にも期待ができます。

管理面においても、システムで業務体制の標準化を図ることで作業員それぞれの作業適正を確認することもできるでしょう。

そのためにまずは現状を把握・分析し、自社にとって必要な機能を補ってくれるシステムを選びましょう。

さらに現場で働く作業員の方々にとって使いやすく、作業がしやすくなる環境に役立つシステムを選ぶことも大切です。

 

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