よみもの 世界の物流事情

貿易について理解しよう!物流業者の目線で解説

2021年2月25日

現代社会において、生活必需品のほとんどが外国製品によってまかなわれていることは言うまでもなく、その他にもサービスや情報などといった様々なかたちで国際交流が盛んになったため、私たちの生活はとても豊かになりました。

こうした生活環境の背景では、貿易といった国を跨いだ取引が行われています。

では、実際にどのような取引がなされているのでしょうか。

そこで今回は、貿易の取引の流れや国内取引との違い、そこに関わる物流業者の役割について解説していきます。

 

貿易とは

 


貿易とは、他国との間で行なう商業的なモノの行き来や商品・サービスの売買取引のことを指します。

似た言葉で「交易」がありますが、こちらは貿易と比べると広義で”外国間”や“商業的”といった表現を除いたモノのやり取り自体を指しています。

 

主な取引の流れ

他国と貿易を行う際、モノを売る側の場合も買う側の場合も基本的には「契約・輸送・決済」の3項目を軸に取引を進めていきます。

契約時には取引先の与信管理や納品までのスケジュール、商品の金額や決済方法など細かい条件を設定します。

また、この時にインコタームズ(最新版はインコタームズ2020)と呼ばれる世界共通で使用される貿易条件を基準に、それぞれの費用負担の範囲を設定することもあります。

国際間の貨物輸送には各国税関による通関手続きが必要(EMSなどを除く)で、インボイスやパッキングリストなどの貿易書類を手配しなくはいけません。

 

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国内取引との違い

国内で行われる通常の取引との違いは、やり取りするモノの種類によっていくつかありますが、大きく異なる点は以下の4つです。

①通貨
異なる通貨で取引を行う場合は、外国為替の影響によるリスクを考慮しておく必要があります。

為替相場は日々変動するので場合によっては損失となることも考えられます。

②リードタイム
物理的な距離の違いから国内取引に比べてリードタイム(注文から納品までにかかる時間や日数)を要します。

また、輸送距離が長ければ当然のことながら貨物の劣化や損傷といったリスクも高まります。

輸送方法によっても違いがあるので貿易において非常に重要なポイントとなります。

③決済方法
国内取引と違って取引先が遠隔地となるため、商品の引き渡しと同時に代金を受け取る(キャッシュオンデリバリー:COD)方法が取れないので、基本的には入金までにタイムラグが生じます。

そのため料金前払いの場合は輸入者が、後払いの場合は輸出者がそういったリスクを背負うことになるので、取引先への与信管理が大切になってきます。

決済方法は、取引先と直接やり取りをする海外送金や銀行を保証人とした信用状(レターオブクレジット:L/C)取引での決済、最近では代金の一部を前払いし、残りは商品の受け取りから契約に基づいた支払期限までに入金する方法など様々です。

④法制度
国にはそれぞれの輸出・輸入規制法が存在します。

これらは通関を行うための必須条件として、取引を行う主体者および取引先の双方がしっかりと把握しておくことが大切です。

なかには他法令といって事前に特別な許可が必要な場合もあるので、『海外から輸出はしたけれど、商品が自国の港で止まっていて輸入ができない』といったトラブルにならないよう注意しましょう。

 

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物流業者の役割

物流と聞くと、トラックや船などで「物を運ぶ仕事」といったイメージを思い浮かべる方も少なくないですが、その役割はとても幅広く、貿易においては陸・海・空の輸送手段をいかに組み合わせるかや必要書類の手配、納品スケジュールの調整など貿易の根幹に関わっています。

また経営面においても物流は重要視されていて、物流の最適化を図る「ロジスティクス」といった、生産から消費者の元に届くまでのモノの流れ全体を効率化させるための様々な施策や戦略構築、情報管理のプロセスが推奨されています。

輸出・輸入について

海外の取引先など国を跨いでモノやサービスを送る(売る)ことを輸出、反対に海外からモノやサービスを仕入れる(買う)ことを輸入といいます。

単に輸出入といっても「何を・いつまでに・どれだけ・どこまで運ぶのか」によって、輸送コストや輸送にかかる所用日数、輸送方法の選択や中継地点の有無など考慮すべき点は様々です。

さらに輸出入には各国で様々な法制度が定められているので、 自分が輸出側・輸入側のどちらの立場にあるかによって必要な手続きや必要書類も変わってきます。

物流業者のなかには輸出入に関わる国際物流を得意とする企業があり、フォワーダー(貨物利用運送事業者)や乙仲(海運貨物取扱事業者)など、取引の仲介者としてサポートしてくれる業者も存在します。

 

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様々な輸送方法とその違い

海外へ貨物を送る際、どのような輸送形態があるのでしょうか。

上述したように「何を・どれだけ・いつまでに」運ぶのかによって選択肢は異なりますが、日本は島国のため基本的には飛行機(国際航空貨物輸送)もしくは船(国際海上貨物輸送)のどちらかを利用することになります。

海外に貨物が到着してから陸地の輸送はトラックや鉄道を利用することになるので、これら二つ以上の異なる輸送手段を使う場合は複合一貫輸送と呼ばれています。

航空貨物は混載便(複数の荷主の貨物を同時に輸送する)での輸送がほとんどで、精密機器や生鮮食品、季節モノや少量で高価なモノを輸送するのに適しています。

さらにスピード感を要する貨物の場合は、クーリエ(国際宅急便)やEMS(国際郵便)といったドア・ツー・ドアのサービスが利用されています。

 

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海上貨物は一度に大量の貨物を輸送することができるため、場合によっては非常に効率的な輸送手段といえます。

海上貨物はコンテナ(鉄やアルミなどでできた巨大な箱)に貨物を積載して輸送する方法が一般的で、コンテナ1本をまるごと仕立てるFCL(Full Container Load)と1本のコンテナに混載するLCL(Less Than Container load)があります。

 

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貿易を始めるには?

現在はオンラインサービスを利用して海外から商品を仕入れたり、インターネット上の翻訳機能を活用して海外の取引先とコミュニケーションを取ることもできるので、従来に比べて貿易ビジネスに参入しやすい環境にあるといえます。

規模にもよりますが、法人化せずに個人事業として貿易を始める方も多いようです。

まずは「どんな貿易がしたいのか」を検討し、ビジネスの全体像を明確化することでターゲットや市場のニーズを鮮明にすることから始めましょう。

 

まとめ

 

貿易で新たなビジネスチャンスを

人や情報、様々なモノが世界を行き交う今の時代において、海外市場を見据えたビジネスを検討することは新たなチャンスを見出すきっかけになるかもしれません。貿易の流れを理解し、国内取引との違いを把握することで実現までの大きな一歩となるでしょう。

その上で必要な手続きや書類の手配、他法令にかかる許認可など事前に情報を集めることが大切です。

物流業者もまた、時代の流れとともに国内輸送から海外輸送まで幅広くサポートを行う企業が増えつつあります。

なかには国際間の貨物輸送のみならず通関業務を含めた包括的なサービスを行ってくれる企業もあるので、実務的な売買以外は物流パートナーに任せてしまうこともおすすめです。

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