よみもの 世界の物流事情

貿易の仕組みや種類、物流業者の役割について

2021年2月25日

貿易とは、国境を越えて行われる商業的なサービスのやり取りや、商品の輸出または輸入をはじめとする国際的な売買取引のことをいいます。

似た意味に「交易」がありますが、交易は貿易と比べると広義な意味合いで使用される用語で、他国との間や商業的といった表現を取り除き、特定の個人または組織との間で、互いに価値のある物品を交換する際のやり取りのことを指しています。

今回の物流手帖では、貿易の仕組みや様々な貿易形態の種類、そこに関わる物流業者の役割についてご説明していきます。

 

※本記事は2024年6月時点の情報をもとに作成しています。

 

貿易の仕組み

貿易は異なる国の企業などの間で行われる商業的なサービスのやり取りや、商品の輸出または輸入をはじめとする国境を越えた売買取引のことですが、貿易の仕組みは、まずモノ・カネ・カミの流れを理解することで、取引内容や契約条件の全体像と貿易実務の理解度を高めることができるとされています。

ここでいう「モノ」とは国際輸送で輸出・輸入される商品のことを指しており、「カネ」は異なる国同士の間でやり取りされる金銭の支払いや受け取り、「カミ」は契約書類から国際輸送や貨物の引き取り、または受け渡しに必要な船積書類、自国で流通するまでに必要なその他の関連書類の作成や交付、手配などを行うことを指しています。

実際に貿易を行う際は、これら3つの要素が一度にまとめて同時に移りわたることはほぼなく、基本的にモノやカネは売り手側から買い手側に向かって一方向に動くものですが、カミに関しては貿易取引が完結するまでの間に、当事者や関係者の間を何度も行き来することが多いため、まずはカミの流れを追うことで、取引の概要や条件などを把握することができます。

 

様々な貿易形態の種類

世界各国でグローバル化が進み貿易が盛んになっていくと同時に、貿易における取引の形態も、様々な状況やニーズに応える必要性が高まったため、現在では色々な形態で貿易取引が行われるようになっています。

本項ではその一部をご紹介します。

 

①直接貿易

売り手側または買い手側が直接、外国の企業やメーカーなどと貿易取引を行うケースのことで、一番シンプルかつ一般的な貿易形態であり、二国間貿易ともいわれています。

相手先と直接的な取引を行うため、仲介業者などの中抜きが発生することなくやり取りができる点がメリットとしてあげられますが、交渉から貿易取引に関わる実務的な負担やリスクも全て引き受ける必要があります。

 

②間接貿易

商社や代理店などに相手先との貿易取引を委託し、自らは商社や代理店と国内取引を行うケース。

経験豊富な商社に取引を依頼することができれば、手数料などが発生するデメリットはあるものの、貿易にはつきものである様々なリスクを軽減することができます。

 

③仲介貿易(三国間貿易)

仲介貿易は、法律上「外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借または贈与に関する取引」と定められており、取引の中心となる仲介者が第三国の契約主体者となり、二国間貿易の売り手側である企業等から商品を輸出し、買い手側の国に商品を届ける貿易形態のことで、三国にまたがった貿易の流れを表して「三国間貿易」ともいわれています。

なお、仲介者が契約の主体にはならず、異なる国との間で行われる貿易取引の仲介を行うことで、双方から取次手数料などの報酬を受け取る場合は、ブローカー(仲介人)に該当します。

 

物流業者の役割

貿易における物流業者の役割は多岐にわたります。

対象貨物の国際輸送をはじめ、国際物流を主に取り扱うフォワーダーや乙仲として、陸・海・空の輸送手段を組み合わせた円滑な国際輸送マネジメントを行ったり、国際輸送や通関手続きに関わる必要書類の手配、納品スケジュールの管理や調整など、貿易取引の根幹に関わる重要な役割を担っています。

輸出や輸入は「どのような商品を・いつまでに・どれだけ・どこまで運ぶのか」によって、輸送コストや運搬にかかる所用日数が大きく異なるだけでなく、船積みを行う港や国によってルールや法律も様々です。

また中継地点を経由して国際輸送を行う場合は、経由地での輸送手段の選択やスケジュール管理を最適に行うために、独自の情報網を活用するなど柔軟な対応が求められます。

 

まとめ

今回は、貿易の仕組みや様々な貿易形態の種類、物流業者の役割についてご説明しました。

昔と違ってインターネットが普及したこともあり、貿易に求められるスピード感は大きく変化しており、貿易にかかる法律や国際的なルール、取り決めなども常に進化し続けています。

また物流業者も、国内輸送から海外輸送まで幅広くサポートを行う企業が増えつつあり、なかには国際間の貨物輸送のみならず通関業務を含めた包括的なサービスを行ってくれる企業もあるので、それらの実務を一貫して物流パートナーに任せてしまい、自社のリソースはマーケティングや売買取引に集中させるといった戦略も活用されています。

補足説明として以下の記事では、貿易取引の流れや国内取引との違いについてご説明していますので、ぜひご覧ください。

 

参考貿易取引の流れとは?国内取引との違いについて

現代では急速なグローバル ...

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