商品の在庫を保管する際や倉庫や納品先までの配送時には、温度管理が必要となるケースもしばしば見受けられます。これは経済の発展とインターネットの普及によって、サービスや流通が多様化し、暮らしが豊かになったことで、より品質の維持が重要視される時代へと進歩したためです。
保管や配送を依頼する際の温度指定の基準には、4温度帯(常温・定温・冷蔵・冷凍)といった区分が設けられており、それぞれに適した商品や特徴があります。
今回の物流手帖では、4温度帯の特徴と保管温度帯の基準についてご説明していきます。
※本記事は2024年9月時点の情報をもとに作成しています。
4温度帯とは
倉庫で商品を保管する際、生鮮食品や加工食品、一部の酒類などの取り扱いには様々な注意点がありますが、なかでも保管時の温度管理は重要であり、倉庫内である程度の期間を保管するケースが多いため、商品ごとに適した温度帯で管理・保管する必要があります。
保管温度には温度帯といった区分が設けられており、大きく分けて、外気温によって変化する常温(平均15~25℃前後)をドライ、マイナス5~5℃の冷蔵をチルド、マイナス15℃以下の冷凍をフローズンといい、倉庫業者やメーカーによって若干の呼称の違いはあるものの、概ねこれらの3温度帯に分けられています。
近年では、上記の3つの温度帯に加えて、定温(低温)といった10~20℃前後の一定温度に保たれる温度帯を合わせた4温度帯が主流になっています。一般的に定温(低温)は温度だけでなく、湿度も一定に管理されています。
それぞれの特徴について
4温度帯のそれぞれの特徴は、以下のようなものがあげられます。
常温(ドライ)
一般的な倉庫での保管や通常のトラックなどで配送を行う際に利用します。温度調整を行う機能が備わっていないため、温度管理が不要な分、コストは比較的安価とされています。
日本には四季があり、近年は温暖化の影響もあって夏場は気温も高く、立地環境の影響も受けるので温度は一定でないため、食品衛生法では明確な温度が指定されておらず、日本産業規格(JIS規格)では20℃±15℃(5~35℃)と規定されています。
サイズや重量が大きな貨物や大量の商品、資材類など常温での保管が可能な商品に適しています。
例)
家具、建材や段ボール、金属製品、ガラス製品、紙類、陶器・食器類、雑貨、飲料、温度管理を必要としない食品類など
定温(低温)
温度変化によって品質や機能が低下する恐れがある商品を保管する際に利用します。倉庫内の温度や湿度を一定に調整するための様々な設備が備わっています。
保管する商品の最適な温度に調整することができるため、品質を維持し、長期間の保存に適した環境を構築することが可能です。またカビや結露、害虫などの発生を抑制する効果もあるため、品質劣化による廃棄ロスなどのリスク軽減につながります。
例)
野菜や果物などの生鮮食品、ワインや日本酒、チョコレート類、米などの穀物、医薬品や化粧品、精密機器、美術品など
冷蔵(チルド)
10℃以下の低温で保管または配送する必要がある場合に利用します。冷蔵庫の温度帯は、一般的にマイナス18℃から10℃以下の間に設定されており、主に以下のような食品類を中心に保管されています。
例)
水産物や畜産物、乳製品、鮮魚や肉類、練り製品、アイスクリームや冷凍食品など
冷凍(フローズン)
倉庫業法施行規則で定義される冷蔵庫のうち、特に冷たいマイナス18℃以下の温度帯で保管される倉庫を冷凍倉庫といいます。分類上は冷蔵庫に含まれますが、混同を避けるために冷凍倉庫と呼称されています。冷凍庫では主に以下のようなものが保管されています。
例)
鮮魚や肉類、アイスクリームや冷凍食品、冷凍マグロ、医薬品や化学製品など
保管温度帯の基準について
冷蔵倉庫(冷凍倉庫)では、倉庫業法施行規則で温度帯の区分が明記されており、C3〜C1、F1〜F3、SF1〜SF4級の10段階の等級に細分化されています。
C3級:マイナス2℃を超え、10℃以下のもの
C2級:マイナス10℃を超え、マイナス2℃以下のもの
C1級:マイナス18℃を超え、マイナス10℃以下のもの
F1級:マイナス24℃を超え、マイナス18℃以下のもの
F2級:マイナス30℃を超え、マイナス24℃以下のもの
F3級:マイナス35℃を超え、マイナス30℃以下のもの
SF1級:マイナス40℃を超え、マイナス35℃以下のもの
SF2級:マイナス45℃を超え、マイナス40℃以下のもの
SF3級:マイナス50℃を超え、マイナス45℃以下のもの
SF4級:マイナス50℃以下のもの
C(チルド)級、F(フリーザー)級、SF(スーパーフリーザー)級といった名称で区別されています。
まとめ
今回は、4温度帯の特徴と保管温度帯の基準についてご説明しました。
商品の配送時や在庫の保管をする際は商品に適した温度で運用することで、品質の低下や廃棄ロスなどのリスク軽減につながり、場合によっては保管期間を延ばすこともできるため、品質管理をする際の重要なポイントになるでしょう。
それぞれの温度帯の区分は、物流または倉庫業者やメーカーによって異なるため、事前に確認するようにしましょう。
参考記事として以下の記事では、定温倉庫の概要と利用するメリットや設備についてご説明していますので、ぜひご覧ください。
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