物流基礎知識 輸出・輸入

原産地証明とは?概要や取得するメリットについて

2022年12月6日

  物流手帖では、主に輸出・輸入に関する記事を中心にご紹介していますが、そのなかでも度々登場する用語で「原産地証明」があります。

原産地証明はその名の通り貨物の原産地を証明することですが、貿易の取引条件によって異なるものの、輸出・輸入時において証明が必要となるケースが多くあります。

そこで今回の物流手帖では、輸出・輸入の際に必要となる「原産地証明」の概要と取得するメリットについて、わかりやすくご説明していきます。

 

※本記事は2022年11月時点の情報をもとに作成しています。

原産地証明とは

原産地証明とは、輸出・輸入が行われる対象貨物の原産地、すなわちどの国で生産されたものなのかを証明することです。

生産が1ヵ国で完結している「完全生産品」のケースとは別に、現代社会ではグローバル・サプライチェーンの影響で、一つの製品に複数の国の部品や材料が使用されているケースが多々あり、輸出・輸入を行う貨物が最終的にどの国で生産されたものであるのか判別しづらくなっています。

そのため「原産地規則」と呼ばれる貨物の原産地を決定付けるルールが設定されており、そこに記された基準をもとに輸出・輸入を行う貨物の原産地が証明されています。

なお、厳密には原産地規則は種類によって細かく分類されているので注意が必要です。

例えばEPA税率を適用するための規則や、WTO加盟国間で使用する税率を適用するための規則などが挙げられます。

このように原産地証明は、輸出側にとっては貨物が自国の製品であるといった証明を、輸入側にとっては貨物が相手国産の製品であるといった証明を得ることを目的として行われています。

 

原産地証明書

原産地証明書は、貿易の取引条件に基づいて原産地証明が必要な場合にのみ発行する書類で、上述の原産地であるといった内容を保証するための情報が記されています。

書類は英語で「Certificate of Origin(C/OまたはCOOと略される場合がある)」と表します。

原産地証明書はジュネーブ条約に批准した各国のうち、発給権限を与えられた輸出国側の商工会議所や商業会議所などの第三者機関によって発行される場合と、輸出者や生産者が自己申告(輸入者が自己申告を行う場合もあります)を行うことで証明書を発行する場合があります。

なお、原産地証明書は輸出・輸入を行うごとに書類を随時発行する必要があります。

前回と同一の条件で再度輸出・輸入を行う場合であっても、新たに発行する必要があるので注意しましょう。

 

取得するメリット

輸入国側の法規制や相手先との契約条件または信用状(L/C)の指定などにより原産地証明書がそもそも必要となるケースもありますが、取得する一番のメリットとしては関税率の軽減にあるでしょう。

関税とは輸入品にかけられる税金のことですが、国が定める基本税率やWTO加盟国間で使用する税率のほかに、通常の税率よりも低い税率を受けられる特恵(とっけい)関税という制度があります。

特恵関税には一般特恵関税(GSP:Generalized System of Preferences)とEPA特恵関税があり、輸出国や品目によってどちらかを選択できる場合と一方しか選択できない場合が存在します。

関税はたかが数%の違いでも金額によっては大きな違いがあるため、例えば輸入販売を行っている企業などの場合、生産コストとは別に商品の販売価格に大きく影響を与える費用となることが予想できます。

 

関税率の参考はこちら(税関)

 

EPAについて

EPAとは、Economic Partnership Agreementの略で日本語で経済連携協定といいます。

EPAはFTA/EPAと表記されることもありますが、FTAとはFree Trade Agreementの略で日本語で自由貿易協定のことを指しています。

FTAは、特定の国や地域との間で行われる貿易において、物品にかかる関税やその他の障壁等を削減・撤廃すること(貿易の自由化)を目的とした協定のことで、EPAはこれに加えて投資や人の移動など様々な分野での国際間のやり取りを円滑に進めるために結ばれた、幅広い経済関係の強化を目的とする協定です。

そのEPAのうちの一つに「EPA特恵関税制度」があります。

EPA特恵関税を適用する場合は、規定に基づいた原産地証明が必要となります。

EPA協定は各国間ごとに定められており、2022年4月時点では20個の協定が存在し、今後も増えるとされています。(TPP11やRCEPなど)

 

原産地証明書の種類

原産地証明書は第三者機関に発行を依頼する場合と自己申告により発行する場合(自己申告制度)とがありますが、前者の場合の証明書には2種類の書類があります。

そのうちの一つは「非特恵原産地証明書」といい、輸入国側の法規制や相手先との契約条件または信用状(L/C)の指定などにより原産地証明書が必要な場合に発行されます。

 

特定原産地証明書

EPAにおける特恵税率を適用することを目的とする場合には、もう一種類の「特定原産地証明書」を取得する必要があります。

特定原産地証明書には第一種と第二種があり、第一種は国によって定められた証明書の発給機関によって発行される(第三者証明制度)もので、第二種は各締約国の権限ある当局による認定(日本の場合は経済産業大臣)を受けた認定輸出者による自己証明(認定輸出者制度)によって発行されます。

なお、必要となる原産地証明書の種類はEPAの各協定ごとに異なるので、事前に利用するEPAに必要な証明書を確認した上で書類を取得するようにしましょう。

 

原産地証明書の取得手順

原産地証明書の取得手順は種類によって異なりますが、主に以下の流れに沿って進めます。

 

  • 非特恵原産地証明書の場合

①発給機関への貿易登録

②申請書類の作成

③発給申請・受領

 

  • 特定原産地証明書の場合

①貨物の関税分類番号(HS番号)の調査

②HS番号をもとにした税率の確認

③適用される原産地規則の特定

④発給機関への企業登録

⑤判定依頼

⑥発給申請・受領

 

詳しくは申請を行う各商工会議所などのWebサイトや、税関のWebサイトを参考するようにしましょう。

 

まとめ

原産地証明は、輸出・輸入が行われる貨物の原産地を証明することで、原産地証明書は貿易において重要な書類の一つであることがわかります。

必ずしも輸出・輸入に必要な書類ではありませんが、原産地証明書が必要となった場合には、その利用目的をしっかりと理解することが大切です。

本記事は、あくまでも原産地証明の概要の一部をご紹介している内容となりますので、実際に書類を申請する場合は各商工会議所や管轄の税関に事前に相談をするようにしましょう。

 

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