輸出の定義について関税法<関税法第二条>では、内国貨物(日本にある貨物で外国貨物でないもの及び日本の船舶により公海で採捕された水産物)を外国に向けて送り出すこと、とされています。
実際には、海外との商業的な取引によって利益を生み出すことを目的とした、貿易のために輸出または輸入が行われるケースが多く、最近では個人輸入や個人輸出といった形態で、海外と貨物のやり取りを行うケースも少なくありません。
そこで今回の物流手帖では、輸出について『手続きの流れ』や『業務フロー』といった基本的な部分の解説を交えながら、輸出の全体像をわかりやすくご説明していきます。
※本記事は2022年2月時点の情報をもとに作成しています。
輸出をする前に確認すべきこと
いざ「輸出をしたい」と考えたときに、対象となるものがそもそも輸出をしても良いものなのかといった点が気になりますが、 対象となるものが「貨物」なのか「技術」なのかによって、輸出時に必要な許可や承認が異なってきます。
これらを解釈をする上でのポイントとしては、全てのものに許可や承認が必要というわけではないことと、輸出の場合は相手国側の法令や制度なども把握しておく必要があるということです。
日本から輸出をする際には、様々な法令や規制・制度などが関わってくるので、正確には経済産業省や税関、関連機関などにしっかりと事前確認または相談を行うと良いでしょう。
輸出に関わる法令や規制・制度については、例えば以下のような法令や制度があります。
・関税法
・外国為替及び外国貿易法(外為法)
・輸出貿易管理令(輸出令)
・安全保障貿易管理制度
・輸出入取引法
・他法令 など
海外での展示会や個人輸出の場合にも適用される
ここで注意すべき点として、上記の法令や制度は有償無償を問わず、商業的な取引(輸出貿易)以外のケースにも適用されるということです。
また、インターネットを介したネット販売や、AmazonなどのECモールに出品して海外に発送する場合も対象となるので注意が必要です。
輸出に関する手続きの流れ
輸出に関する手続きの流れは、先ほどご説明したように、輸出貿易の場合や海外での展示会、またはネット販売など受け取り先や取引形態によって大きく異なります。
ここでは一般的な輸出貿易の際の手続きについてご説明していきます。
主な流れは5つ
取引の内容によって異なる場合もありますが、一般的には以下の5つの流れに沿って進められています。
①市場調査および取引先の選定(引き合い)
事前に取引をする相手の信用調査や取引審査、自社が輸出する貨物または技術の該非判定(法令や規制に抵触していないかを正確に判断する確認作業)を行いましょう。
②売買契約の締結
輸出に関わらず、契約内容に齟齬がないか入念にチェックを行いましょう。
③輸出の許可または承認のための申請(必要な場合のみ)
輸出の許可や申請が必要な場合は、諸官庁に申請を行います。
④輸送準備・搬入など
輸送手段に応じて必要な事前準備を行います。インボイスやパッキングリスト、B/L(船荷証券)などの必要書類の準備や保税地域への搬入、通関手続きといった専門的な作業が含まれるため、一般的にはフレイト・フォワーダーや通関業者と呼ばれる国際貨物のスペシャリストに委託するケースがほとんどです。
⑤決済
売買契約の条件に沿って決済を行います。主な決済手段は、直接送金、一部料金の前払い、信用状(L/C)による決済などです。
輸出業務の流れ(フローチャート)
上記の図は、貨物の流れと書類の流れに分けて作成しています。
前述の通り、取引の内容がどのようなものであるかによって流れは大きく変わってきますが、輸出貿易においての一般的な業務の流れやフロー(対象となるものが貨物の場合)はこのようなイメージになります。
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まとめ
今回は、輸出に関しての事前確認が必要な内容や手続きの流れ、業務フローについて基本的な部分のご説明をしました。
海外との商業的な取引または物品の移動は、専門性の高い貨物や技術・その他原料などの貨物以外にも、法令などで規制された貨物や技術などが存在するため、実際に輸出を行う前にはしっかりと確認を行い、違反などのリスクを回避することが大切です。
またビジネス面においては、相手先を契約前に入念に選定し、最適な輸送手段で輸出を行うことで、海外展開の成功率を高めることができるでしょう。
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