物流は、経済活動を行う上で必要不可欠な機能とされており、それとともに時代のニーズやサービスの多様化に合わせて常に進化しています。
単に「物を運ぶ」ということだけではなく、生産段階から消費までの幅広い工程の中での物流最適化が課題となっており、それらを解決するためにロジスティクスといったシステム・仕組みが活用されています。
そこで今回の物流手帖では、 ロジスティクスの意味や物流との違い、5大機能についてご説明していきます。
※本記事は2023年11月時点の情報をもとに作成しています。
ロジスティクスとは
ロジスティクス(Logistics)とは、サプライチェーン(Supply Chain:供給連鎖)における効率的な製品の輸送やそれに付随するプロセスなど、製造から販売までの物流全体の仕組み、そのものを管理・実行・マネジメントすることを意味しています。
ロジスティクスの基本的な考え方としては、製造に必要な材料の調達や製品の輸送、それに付随する物流プロセスをいかに効率的かつ計画的に行うかに着目しており、サプライチェーンの基盤を支える縁の下の力持ちのような役割を担っています。
ロジスティクスと物流の違いは、物流が生産段階から消費者の手元に届くまでの物品の流れ(材料や部品から製品化されたもの)に関わる様々な工程のことを指している一方、ロジスティクスは物流全体の仕組みを効率化したり、システムを最適化する考え方または活動のことを指しています。
サプライチェーンと密接な関係にある
サプライチェーンは、生産から消費までの一連の流れのことで、ロジスティクスはそれらを構成する要素のうちの一つとされており、ロジスティクスを含むサプライチェーン全体を管理・最適化する仕組みのことを、サプライチェーン・マネジメント(SCM)といいます。
ロジスティクスはサプライチェーンと密接な関係にあり、構成要素のうちの一つとされていますが、明確な定義はされておらず、用語としては物流と近い意味合いで使用されるケースもあるようです。
物流の5大機能について
国土交通省によって策定されている「総合物流施策大網」では、物流は“我が国における豊かな国民生活や産業競争力、地方創生を支える重要な社会インフラ”と記されていますが、主にどのような機能を有しているのでしょうか。
輸送(運送・配送)
まず始めに、一番イメージがしやすい機能の一つとして「 輸送(運送・配送)」があります。 輸送 は物流に含まれる機能の大部分を占めており、中心となる機能です。
日常的によく目にする機械製品から生活には欠かせない生鮮食料品や日用品、メーカー・企業などで主に使用される特殊な機械製品やその部品、さらには廃棄物などに至るまで、様々な物品が国内外の道路、海上、航空、鉄道といった経路を通って輸送(運送・配送)されています。
保管・荷役
次に「保管」と「荷役」の機能についてご説明します。
保管とは倉庫や物流センターなどで製品や商品を保管することです。単純に保管といっても様々な目的があります。
例えば、海外からの輸入品の場合(個人輸入の場合を除く)、必要となった際にすぐに仕入れができないため、倉庫や物流センターにあらかじめ一定量を保管しておくことが一般的です。
定温管理が必要な製品の場合は、定温倉庫といった温度管理機能が付いた倉庫で保管するケースもあり、保管中の製品の品質管理や商品劣化を防ぐ役割を担っています。
また倉庫や物流センターに製品や商品を保管する際は、通常フォークリフトなどを使用して入出庫作業を行います。
これは「荷役」と呼ばれる物流機能のうちの一つで、そのほかにトラックや船、飛行機などの輸送車両に貨物の積み込みや積み下ろしを行う作業なども荷役に含まれています。
詳しくは以下の記事でもご説明していますので、ぜひご参考ください。
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参考物流倉庫や物流センターの機能、特徴について
自社で生産した製品や販売 ...
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流通加工・包装
そのほかには「流通加工」や「包装」といった機能も物流には含まれています。
流通加工とは、検品や検量、値札やタグ・ラベル貼り、箱詰めやラッピングなどの付加価値的な作業を行うことで、納品段階の引き上げにつなげることです。
完成品や仕掛品の状態で納品されるので、荷主企業にとっては最終工程の手間などを削減でき、仕入れから即店頭に陳列することができます。
包装の定義はJIS(日本産業規格)によって詳しく記されていますが、要約すると製品や商品を最適な状態で維持することを目的としています。
この「最適な状態」とは製品や商品の段階によって状態が異なります。
例えば、輸送時に施される梱包(木箱や段ボールなどに箱詰めした状態)は、輸送時における貨物へのダメージ軽減や積載効率を高めるために施されますが、消費者が手にする状態(袋や瓶詰め、ラッピングなどされた状態)は、商品価値そのものを高めるために包装されるため、最適の基準となる包装の目的が異なります。
まとめ
今回は、ロジスティクスの意味や物流との違い、5大機能についてご説明しました。
また最近では物流業界においてもDXや標準化なども推奨されており、ロジスティクスと同様にサプライチェーンと連携する機能も新たに取り入れられています。
グローバル化の発展に伴い、国内でサプライチェーンの全てを完結する仕組みは少なくなりつつあるなかで、こうした背景からグローバル・サプライチェーンといった、海外拠点も含めた国際的なやり取りを行うケースも多く見られています。
そのため現在の物流業界では、各国間の部品や材料の調達、生産といったロジスティクスプロセスを最適化する「グローバル・ロジスティクス」が重要視されています。
アスト中本でもグローバル・ロジスティクスの一環として、タイ・中国・韓国の主要港や工業区域にアクセスしやすい場所に海外拠点を置くことで、日本と東南アジア間をはじめとする国際輸送のプロセスを効率化しています。
また現地での日本語対応や、現地作業員を国内本社で研修することで海外拠点の作業品質向上につなげ、シームレスかつスピーディーに、荷主企業のグローバル・サプライチェーンの支援を行う体制を整えています。
今後もグローバル化を支援する企業の取組みはさらに需要が増え、物流DXなどの新しいニーズに合わせたグローバル・ロジスティクスも多様化していくでしょう。
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