物流基礎知識 輸送・配送

積載効率とは?トラックの輸送効率化や生産性向上について

近年物流業界でも話題となっている、2024年問題の猶予期間も残すところ1年となり、各社が本格的な対策に追われるなか、以前として業界全体のトラックドライバーが不足している状況が続いています。

厚生労働省の資料では、令和4年6月の貨物自動車運転者の有効求人倍率は2.01で、同月の全職業平均値の1.09と比べると約2倍近くの差がある状態です。

物流は「我が国の産業競争力の強化、豊かな国民生活の実現や地方創生を支える重要な社会インフラ」とされている通り、国を上げてこうした背景からドライバー不足を解消するための施策は様々検討されていますが、それと同時に輸送プロセス全体の効率化や生産性向上といった課題にも注力すべき時代となってきました。

そこで今回の物流手帖では、トラック運送の効率化や生産性向上につながる「積載効率」の意味と計算方法、そして輸送プロセス全体の効率化や、生産性向上を模索するための基準について、わかりやすくご説明していきます。

※本記事は2023年3月時点の情報をもとに作成しています。

 

積載効率とは

まずは積載効率の考え方や意味、そして割合の計算方法について解説します。

 

貨物を効率良く積み込めているかの指標のこと

積載効率とは、 貨物を効率良く積み込めているかの指標のことで、車両の最大積載量に対して何%貨物を積み込めているかの割合(積載率)が、高ければ効率が良く、低ければ非効率であるとする考え方です。

ちなみに最大積載量とは、荷台に積むことができる貨物重量の最大値のことで、車両総重量から車両重量と乗車定員の重さを引くことで正確な値を算出することができます。

小型トラックの場合は2t以下、中型トラックは約4tほど、大型トラックは約10tもしくはそれ以上積めるとされています。

 

積載率の計算方法について

積載率の求め方は次の計算式で算出することができます。

 

積載重量 ÷ 最大積載量 × 100 = 積載率(%)

 

積載重量は実際に積み込んだ貨物重量のことで、単純な計算例で表すと、最大積載量10tの大型トラックに2.5tの貨物を積載した場合は積載率25%となります。

また積載率は運送車両の稼働時に算出されるので、例えば往路の積載率が40%の車両で帰路の荷物がない場合は0%となり、往復の平均値は積載率20%と算出することができます。

なお運行途中で積み卸しが発生する場合などは、積み卸しを行った時点で積載率が変動するので、正確な数値を算出する必要がある場合は注意しましょう。

余談となりますが、上記の計算式のベースとなる数値はトン数ベースで表した数値のため、トンキロベースで表した数値の場合とは最終的な割合が異なります。

2022年9月に国土交通省が作成した資料では、近年の積載率の推移についてトンキロ(貨物重量トン数 × 輸送距離)ベースで計算されているため、積載効率の基準とする数値をトン数とするのかトンキロとするのか、あらかじめ決めておくと良いでしょう。

 

輸送効率を高めるには?

次に輸送プロセス全体の効率化や、生産性向上のための基準となる評価指標(KPI:Key Performance Indicator)についてご説明します。

 

物流における労働生産性と評価指標

国土交通省が発表した「物流生産性革命」によると、物流における労働生産性(従業員1人あたりが生産できる成果の値)とは、付加価値額(経常利益、人件費、租税公課、支払利息、施設使用料の合計)/(就業者数×1人あたり平均労働時間)と定義されています。

当然のことながら、労働生産性の数値が高ければ高いほど効率的かつ生産性が高いと判断できるので、ベースとなる付加価値額の増大もしくは、投入労働時間数の削減が物流業界の生産性向上に結びつくと考えられています。

これらをもとに輸送プロセスにおける、生産性や効率化を具体的に可視化するための評価指標として「実働率」「実車率(時間あたり)」「実車率(距離あたり)」「積載率」があります。

 

・実働率

トラックあたりの実働時間または実働日数の割合のことで、保有している運行可能な車両の実働率が高ければ高いほど、車両あたりの生産性が高いことを指しています。

いかにしてトラックの非稼働時間を削減するかがポイントとなります。

 

・実車率(時間あたり)

運行しているトラックの稼働時間のうち、実際に荷物を積載して走行している時間の割合のことで、運行中の車両の実車率(時間あたり)が高ければ高いほど、一運行あたりの効率が良いことを指しています。

積み卸し(荷役や検品、その他の付帯業務)作業にかかる時間や待機時間を削減することで、効率化を図ることができます。

 

・実車率(距離あたり)

運行しているトラックの走行時間のうち、実際に荷物を積載して走行している距離の割合のことで、運行中の車両の実車率(距離あたり)が高ければ高いほど、空車状態(荷物を積んでいない状態)での走行距離が短く、一運行あたりの生産性が高いことを指しています。実車率(距離あたり)と空車状態での走行距離の割合(空車率)との比率をもとに算出されます。

 

・積載率

トラックが実際に荷物を積載して走行している距離のうち、車両の最大積載量に対して何%の重量の荷物を積み込めているかの割合のことで、運行中の車両の積載率が高ければ高いほど、荷台の空き重量が少なく、一運行あたりの積載効率が高いことを指しています。

 

参考:トラック運送における生産性向上方策に関する手引き

 

積載率を高める方法について

積載率を高めるための方法は、輸送する貨物の種類や業態、配送状況などによって大きく異なるという点を前提として、一般的には以下の方法などが考えられます。

 

①運行車両の積載状況の把握

②保有車両の積載率の均等化

③荷物の種類やカテゴリーの集約

④共同配送や荷主への協力要請

EC市場規模が年々上昇するとともに、ラストワンマイルの小口貨物の増加と多頻度化も比例して進行していくなか、運送事業者単体でどこまで対策ができるのか、また荷主企業との連携や共同配送のためのパートナー企業との連携強化がどこまで必要になるのかなど、今後さらに柔軟な対応が必要になることが予想されます。

 

まとめ

今回は「積載効率」の意味や計算方法、そして輸送プロセス全体の効率化や、生産性向上を模索するための基準についてご説明しました。

自社の輸送効率化や生産性向上を進める際には、輸送時の各フェーズごとに基準となる評価指数を用いることで、正確な現状把握を行うことができ、具体的な改善策を模索するための情報材料となるでしょう。

 

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