2020年に広まり始めた新型コロナウイルスによる国際コンテナ輸送量の低迷からしばらく経ち、現在発表されているデータでは、ここ数年の海上コンテナ輸送量の需要が例年に比べて増加傾向にあるとされています。
海上コンテナ輸送は、コンテナ1個を1社でまるごと仕立てて輸送するFCLと1個のコンテナに複数の会社で貨物を混載するLCLといった方法がありますが、輸出・輸入の際にコンテナは指定された地域に一時的に保管されてから運び出されます。
今回の物流手帖では、輸出・輸入の貨物やコンテナを一時的に保管する場所、またその仕組みについて分かりやすくご説明していきます。
※本記事は2022年6月時点の情報をもとに作成しています。
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コンテナヤードとは?
コンテナヤードとは、外国から運ばれてきたコンテナやこれから輸出を行うコンテナを一時的に保管しておくエリアのことで、英語ではContainer Yardと表記され、一般的にその頭文字をとってCYと称されています。
コンテナヤードは指定保税地域*(本記事後半にてご説明します)に分類されており、ここでコンテナを保管している間に輸出入に関する手続きなどが行われます。
利用シーンの一例として、FCLで貨物を輸出する場合では、バンニング(コンテナに貨物を積み込む作業)を終えた場所からコンテナをコンテナヤードまで輸送(ドレーまたはドレージ)し、本船への積み込みまで保管するといった際に利用されます。
コンテナフレイトステーション
コンテナフレイトステーションは、英語でContainer Freight Stationと表記され、CYと同じようにCFSと頭文字で称されています。
コンテナフレイトステーションには主にLCLで輸送される貨物が運び込まれ、バンニングやデバンニング(コンテナから貨物を荷卸しする作業)または貨物の仕分けなどの荷役作業が行われています。
利用シーンの例としては、LCLで貨物を輸入する場合に、本船からコンテナヤードに到着したコンテナをコンテナフレイトステーションまで輸送し、デバンニングや仕分け、輸入通関などを行う際に利用されます。
コンテナターミナルとの違い
コンテナターミナルとは主要港または地方港にある港湾施設のことで、コンテナ輸送における海路と陸路の交差点のようなところです。
コンテナヤードやコンテナフレイトステーションはその中の一部のエリアに併設されています。
コンテナターミナルにはそのほかに、バンプールといった空のコンテナを集積し保管するエリアや、船にコンテナを積み卸しするガントリークレーンが設置されたエリアなどがあります。
ターミナルの出入り口はゲートと呼ばれ、その周辺には管理棟やコンテナのダメージチェックやメンテナンスを行う設備などがあります。
保税地域について
さて、ここまでご説明しましたコンテナヤードやコンテナフレイトステーションですが、総称するとこれらは保税地域と呼ばれる特別な区域に該当します。
保税地域とは、輸出入を行う貨物を日本の法規制の管轄下におくために設置または許可された場所のことで、基本的に外国貨物は保税地域以外に置くことができないものとされています。
一部例外もありますが、詳しくは関税法第30条をご確認ください。
なお外国貨物とは、輸出の許可を受けた貨物または外国から日本に到着した貨物で輸入が許可される前のものを指しています。
保税地域に置かれた外国貨物はそれぞれ管轄をする税関の監督下におかれ、指定されたエリアでのみ貨物の積み卸しや蔵置、加工や展示などを行うことができます。
指定保税地域
財務大臣が指定して設置される場所で、外国貨物の積み卸しや運搬、一時的な保管(原則1ヶ月以内とされています)が認められているところを指します。
コンテナヤードなどがこれに該当します。
目的はあくまでも輸出入に関する手続きを迅速かつ正確に行うために設置されたもので、長期間の蔵置やコンテナに貨物を積み卸したりすることはできません。
保税蔵置場
名前の通り外国貨物を蔵置できる場所で、税関長が許可したところに設置されます。
コンテナフレイトステーションなどが該当します。
ここでは外国貨物を蔵置したり、運び込まれたコンテナから貨物を積み卸して仕分けをしたり、貨物の手入れを行うことができます。
蔵置期間は当該貨物を置くことが認められた日から2年間とされていますが、特別な事由があると認められた時は申請によって蔵置期間を延長することができます。
保税工場
外国貨物に関税を課さないまま加工または製造することができる場所として、税関長が許可したところを指します。
期間は承認された日から2年間とされていますが、作業の都合によっては期間を延長することも認められています。
この間に外国貨物に加工を行なって出来上がった製品を海外に輸出することで、関税がかからずに加工貿易を行うことができます。
保税展示場
外国貨物を展示する会場として税関長が許可した展示場がこれに該当します。
保税展示場は、国際的な規模で開催される博覧会や外国商品の展示会などを円滑に運営・開催するために設けられたもので、税関長が必要と認める期間の展示や使用が認められています。
なお、施設内で展示されている外国貨物を展示場内で販売する場合は輸入扱いとなります。
総合保税地域
保税蔵置場、保税工場、保税展示場の各機能を総合的に活用できる場所として、税関長が許可したところを指します。
蔵置できる期間は承認された日から2年間とされていますが、作業の都合によっては期間を延長することも認められています。
主な目的は、輸入の促進やそれぞれの施設を併設することで手続きをスムーズにすることとされています。
参考:保税地域の概要
まとめ
今回はコンテナを一時的に保管することができるコンテナヤードとコンテナへの貨物の積み卸しなどができるコンテナフレイトステーション、そしてそれらが設置されているコンテナターミナルについてご説明しました。
また、これらは全て保税地域と呼ばれる特別な区域、または認定された施設にあたり、そこでは外国貨物に関税が課されないまま蔵置ができたり、加工や製造、展示などを行うことができます。
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