よみもの 世界の物流事情

フォワーダーと乙仲の違い、依頼時のポイントについて

2024年9月13日

国際物流の発展やインターネットの普及に伴って、海外の取引先と貿易を行う企業が増え、ビジネスや日常生活における他国の商品や文化との関わり合いが一般的となった現在、貿易に関する法律や規制等も時代の流れに合わせて常に変化しています。

実際に自社で貿易を行う際には、国内の取引と違った複雑な手続きや手順をはじめ、準備や手配する業者なども多方面に及ぶため、国際物流の中継ぎや全面的なサポートを行う専門業者であるフォワーダーに業務を依頼するケースが一般的とされています。

今回の物流手帖では、フォワーダーを利用するメリットや乙仲・通関業者との違い、依頼時のポイントについてご説明していきます。

※本記事は2024年8月時点の情報をもとに作成しています。

フォワーダーを利用するメリット

他国と貿易を行う際、海外の取引先と契約を交わし、貿易条件などの細かい取り決めや決済方法などを決めた後は、国際貨物輸送の準備を進めていく必要があります。

その場合、一般的には自社で運送会社や通関業者の手配を行うケースと、フォワーダーと呼ばれる国際物流の仲介を行ってくれる業者に依頼する方法の二つのパターンが考えられます。

フォワーダーは、基本的に自ら輸送手段を保有しておらず、荷主の依頼に応じた最適な輸送手段を構築するために、キャリアと呼ばれる実運送人の手配や複数の輸送手段を組み合わせた国際複合輸送を引き受ける、貿易の専門家のような存在です。

フォワーダーの業務は時代のニーズに合わせて変化してきました。

現在では、主業務である国際輸送のコーディネート以外にも、通関業務や輸送関係書類の作成、保税地域内での貨物の保管・梱包・配送業務、海上保険等の手配などのサービス提供も行っています。

フォワーダーを利用するメリットは、下記のようなものがあげられます。

①輸送上のあらゆるリスクの軽減

②複数の船会社の見積を取得することで比較検討が可能

③陸・海・空の輸送手段を組み合わせた輸送プランの提案が可能

④万全なスペースの確保

⑤特殊貨物など専門的な知識が必要な貨物輸送を的確にサポート

⑥長期的な取引で価格的メリットを得やすい

貿易を行う際に必要な国際貨物輸送の手配や税関手続きは、専門性が高く、正確な情報を得た上で手続きを進めていかなくてはならないため、国際物流の専門家であるフォワーダーに一任することで、不要なリスクを回避することができ、結果的に有益となるケースが多くなるでしょう。

 

乙仲・通関業者との違い

フォワーダーは、現在国際物流において広範囲の業務に対応しているため、類似する業務を行う事業者と部分的に役割が重複しています。実際には、全ての業務を包括的に行っているフォワーダーだけでなく、一部のサービスに特化したフォワーダーも存在するため、依頼する際には事前に対応範囲を確認しましょう。

類似する業務を行う事業には、乙仲(おつなか)や通関業者などがあります。

乙仲とは乙種仲立業の略称で、現在の海運貨物取扱業者(海貨業者)のことを指しています。乙仲は戦前の海運組合法に分類されていた名称で、この法律は戦後すでに廃止されているものの、当時の名残りや現在の海貨業者が行う業務と類似している点から、現場では海貨業者のことを乙仲と称するケースもあります。

次に通関業者ですが、こちらは通関業法に定められた貨物の輸出・輸入に関連する通関および付随する業務や手続きを行う専門業者のことを指しています。

依頼時のポイント

フォワーダーに国際物流の仲介を依頼する際のポイントとして、まずは仕向地に現地法人や代理店などが存在しているかを確認するところから始めましょう。また仕向地への輸送実績や、その国や地域に特化したサービスを提供しているか、付け加えて現地に駐在している担当者の存在なども確認しておくと良いでしょう。

次に、見積りを依頼するための情報が記載された貿易書類を準備しましょう。フォワーダーは国際物流のプロではありますが、見積りを作成するためには具体的な情報が必要になります。一般的には、積地や揚地、貨物の引き取り先と送り先、貨物の内容や種類・梱包形態などです。これらの情報は貿易書類を作成することで調べることができます。

実際に準備すべき書類は様々ありますが、なかでも貿易に関わる書類で重要とされているものがインボイス(INVOICE)です。インボイスがなくては海外の取引先と商的な物品のやり取りができないため、フォワーダーに仲介を依頼する際にも必要となる重要な書類の一つです。

またインボイスは税関手続きの際にも必要となる書類で、その役割は大きく分けて「請求書」と「通関書類」と「輸送のための貿易書類」の三つの目的別に使用されます。

フォワーダーに委託できる業務は、国際貨物輸送のほかに保険の手配も依頼することができます。

海外へ貨物を輸送する際、船会社や航空会社には輸送中のあらゆる事故に対して、損害責任があると思われがちですが、実際には貨物を安全に目的地まで届ける義務はありますが、損害については賠償する責任は発生しません。

そのためフォワーダーに国際物流の仲介を依頼する際は、同時に保険の手配も依頼するようにしましょう。なお、輸出者と輸入者のどちらが保険を手配するかは、契約時の貿易条件によって異なるので注意が必要です。

まとめ

今回は、フォワーダーを利用するメリットや乙仲・通関業者との違い、依頼時のポイントについてご説明しました。

貿易は異なる国の取引相手とビジネスを行うため、関連する法律や手順も様々で、なおかつ物理的な距離があるため、貨物の輸送方法を選択する際には、いかに最適なプランを構築できるかによって物流コストに大きな影響を及ぼします。

フォワーダーは国際物流のプロであり、こうした荷主の不安を解決してくれる貿易のエキスパートです。自社のビジネスに合ったフォワーダーを選定するためには、事前に情報収集を行い、実際にいくつかの業者に直接話を聞いてみるという方法も、依頼先を判断するための良い材料となるでしょう。

参考記事として以下の記事では、フレイトフォワーダーの業務内容や役割・種類についてご説明していますので、ぜひご覧ください。

参考
フレイトフォワーダーとは?業務内容や役割・種類について

世界経済のグローバル化に ...

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