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輸入通関の仕組みとAEO制度について

通関手続きは、輸出または輸入時に貨物の品名や種類、数量、価格などを税関に申告し、許可を得る手続きのことで、世界各国で内容や制度そのものが異なり、日本国内においては輸出時と輸入時とで必要書類や手続きの流れが若干異なる部分があります。

今回の物流手帖では、輸入通関の仕組みと輸入通関に関わるAEO制度についてご説明していきます。

※本記事は2024年7月時点の情報をもとに作成しています。

輸入貨物の保管場所

 

外国から到着した輸入貨物は、原則としてまずは保税地域に搬入されます。なお、保税地域に貨物が蔵置されている間は、実際に国内に輸送がされている状態であっても、法律上「外国貨物」の扱いとなるので注意しましょう。

保税地域とは、輸入の際に納税が必要となる関税や輸入消費税等の賦課が留保される地域のことで、国際輸送をメインで取り扱っている物流業者や海貨業者が所有する物流センターや倉庫の一部、各港湾地区に隣接されたコンテナ・ターミナル、港や空港に設置された上屋(うわや)などがこれに該当します。

保税地域にはいくつか種類があり、外国貨物の積卸や運搬、一時保管を目的とする場所のほかに、加工や製造ができる工場の機能を有した場所や、外国貨物のまま展示会や博覧会に使用する施設などがあります。

それぞれ蔵置可能な期間が異なるため、自社の目的に合った保税地域に搬入するようにしましょう。

輸入貨物を保税地域に搬入した後、通関手続きを進めていきます。

輸入申告の方法について

通常、輸入申告は関税や輸入消費税の納税申告と同時に行ないます。理由は関税等の納付をしないと輸入許可が受けられないためです。

また税関への輸入申告は、通関業者(通関業の許可を得た専門業者)に依頼するのが一般的です。

場合によっては、個人事業主や立ち上げて間もない法人など、輸入する商品のロット数が少ないケースや、代行業者への費用を賄うことが難しい等の特別な理由がある場合は、自社通関を行なうケースもあります。

通関業者に輸入申告を依頼する場合の主な費用は、通関業法で定められた輸入通関料(8,600〜11,800円)や取扱手数料(10,000〜30,000円)、税関検査代金(5,000〜10,000円)などがあります。

※商品代金の総額や品目数、件数、他法令に該当する場合など内容によって金額が異なります。

手続きの内容は、素人目には煩雑な仕組みとなっており、自社の商品がどの実行関税率表に該当するか(HSコード)の確認や、輸入貨物を受け取るための手続き(D/O処理)、混載便やドレー会社などの国内関係諸機関、輸入検査機関などとの調整も滞りなく行わなくてはいけません。

申告方法は現在、「NACCS」というシステムを使用した電子申告が主流となっています。

電子申告は、通関業者の専用システムからアクセスする必要があり、一般の輸入者が電子申告を行なう場合は、通関業者に電子申告の手続きを依頼する必要があります。

煩雑な手続きに加え、結局のところ電子申告を行なう場合は通関業者に依頼することを考えれば、餅は餅屋と言う様に、最初から専門家に依頼する方法がおすすめです。

輸入申告後は、税関による申告情報や書類の審査、輸入貨物が法令に適格がどうかの確認、関税や輸入消費税の申告額が正しいかなどの確認が行われます。この際、必要に応じて、見本検査や一部抜取検査、全量検査の方しきが用いられて貨物検査が行ないます。

問題がなければ、関税等の納付確認や納期限延長手続きの有無が確認された後に、申告者に対して輸入許可書が交付されます。この輸入許可書の発行があって初めて、輸入貨物を保税地域から搬出することができます。

AEO制度とは

AEO(Authorized Economic Operator)制度は、貨物のセキュリティ確保と法令遵守の体制が整備された事業者に対し、税関手続きの緩和と簡素化を提供する制度です。本制度は、国際物流におけるセキュリティ確保と貿易の円滑化による国際競争力の向上を目的としています。

輸出・輸入の際に、税関で審査や検査を厳格に行なった場合は多くの時間を要するため、迅速な通関の実施が困難になります。逆に審査や検査を省略して通関にかかる時間の短縮を優先してしまうと、その分リスクが高まってしまいます。

そのためAEO制度により、不審貨物看過のリスクが低い荷主(事業者)とそうでない荷主を選別し、参加事業者に対しては通関手続きを簡素化することで、リードタイムの短縮やコスト削減につなげています。

また本制度は世界90カ国以上で導入されており、各国相互間で承認し合うことで、より効率的な国際貿易の供給を促しています。日本では平成18年(2006年)に導入が開始されました。

主なメリットとしては、輸出・輸入貨物を保税地域に搬入することなく輸出および輸入申告(特定委託輸出申告・特例委託輸入申告)することができたり、蔵置場所に関わらず管轄の税関とは異なる区域の税関でも申告が可能になるなど、様々なメリットを受けることができます。

まとめ

今回は、輸入通関の仕組みと輸入通関に関わるAEO制度についてご説明しました。

輸入申告は輸出の場合と違い、関税や輸入消費税の納税申告も同時に行なうため、輸入貨物がどの実行関税率表に該当するか(HSコード)の確認や、そのほかに輸入貨物を受け取るための手続き(D/O処理)なども行なう必要があります。自社で通関を行なう際は、分類ミスなどがないよう入念に確認を行いましょう。

補足説明として以下の記事では、通関手続きの流れと輸出・輸入時の必要書類についてご説明していますので、ぜひご覧ください。

参考
通関手続きの流れ、知っておくと便利な税関の制度について

海外から個人輸入などをし ...

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