他国と貿易を行う場合、日本では航空便のほかにコンテナ船や在来船といった船便を利用することもありますが、輸送中はどの輸送手段を用いても何らかのトラブルが発生する可能性があり、到着後に貨物にダメージが発見されることも少なからずあります。
それらのトラブルを防ぐために、貿易に関わる様々な事業者によって、梱包方法やコンテナ内の積み付け、輸送方法などが日々、改善されています。
外国貨物が国内の港に到着してから、荷主に受け渡しが行われる際、デバンニングレポートといった貿易書類が発行される、または場合によって作成を依頼することがあります。
今回の物流手帖では、デバンニングレポートの意味や内容・役割についてご説明していきます。
※本記事は2024年11月時点の情報をもとに作成しています。
デバンニングレポートとは
デバンニングレポート(Devanning Report)とは、外国から輸入した貨物の受け渡しの際に発行される書類のことです。輸入貨物の引き取りに関係する貿易書類は、B/L(Bill of lading)やD/O(Delivery Order)など、いくつかありますが、デバンニングレポートは、輸入した貨物をコンテナ等から積み卸した時の状態を記した書類です。
外国から海上輸送されてきた貨物(コンテナ)は、本船から荷卸しされ、原則として、まずは保税地域に搬入されます。
保税地域とは、国内に輸入した貨物の輸入許可が降りるまでの間、貨物を保管しておく特別なエリアのことで、一般的にFCL貨物の場合はコンテナ・ヤード(CY = Container Yard)にコンテナを移し、LCL貨物の場合はコンテナ・フレイト・ステーション(CFS = Container Freight Station)にコンテナが運び込まれます。
LCL貨物は、複数の小口貨物を1つのコンテナに集めた混載便で輸送されるため、CFSに搬入した後にコンテナを開梱し、コンテナから貨物を取り出して受け渡し先の荷主ごとに仕分けが行われます。このコンテナから貨物を取り出す作業のことを、デバンニングといいます。
デバンニングを行う際は、開梱したコンテナ内の貨物の状態や数量などを正確にチェックする必要があり、この作業は国に認可を受けた検数事業者に依頼することが一般的とされています。
検数作業は検数人(タリーマンまたはチェッカー)によって行われ、検数の結果はタリーシート(Tally Sheet)に記載されます。
デバンニングレポートの内容
混載便で貨物を輸送する場合、コンテナに詰め込む貨物の種類も様々なため、輸送中の貨物同士の衝突リスクも高まり、さらに途中の経由地で貨物を混載する場合は、積み卸しの回数も増えるため、作業時に何らかのトラブルが発生する確率が必然的に高まることが予想されます。
そのためコンテナが仕向地に到着した後、デバンニングの際に、万が一、貨物数量の過不足や貨物ダメージ等の瑕疵があった場合の責任の所在を明確にするために、輸入した貨物の状態を記したデバンニングレポートが発行されます。
デバンニングレポートの内容は、通常、タリーシートに記載された検数結果の内容をもとに記入され、日付や貨物内容の詳細をはじめ、そのほかに航海番号(VOY No.)やコンテナ番号(Container No.)、シール番号(Seal No.)、リマーク等が記入されます。
輸入した貨物に損害があった場合
荷受人が貨物を受け取る際、貨物の詰め込み時に発行された作業報告書(バンニングレポート)の内容と、輸送されてきた貨物の状態を照らし合わせて、万が一、貨物数量の過不足や貨物ダメージ等の瑕疵があった場合は、損害賠償請求などのクレームを行うことができます。
この時に重要となるのが、損害が発生した時点を立証するための書類で、ランディング・レポート(Landing Report)や入庫報告書、在来船で輸送した場合はカーゴ・ボート・ノート(Cargo Boat Note)、コンテナ船で輸送した場合はデバンニングレポートなどがあげられます。
リマーク(Remarks)とは、貨物の状態を表した注意書きのことで、事故の程度を表すコードと事故等の内容を表すコードで記されます。リマークコードには以下のようなものがあります。
・コード上1桁
S(SLIGHTLY)= 少々(貨物全体の概ね30%未満のもの)
P(PARTLY)= 一部(貨物全体の概ね30%以上80%未満のもの)
A(ALL)= 全部(貨物全体の概ね80%以上のもの)
・コード上5桁
BROKN(BROKEN)= 破損
CVTRN(COVER TORN) = 外装破れ・袋切れ
DENTE(DENTED)= へこみ
LEAKI(LEAKING)= もれ
SEBRK(SEAL BROKEN)= 封印破損
そのほかにもリマークコードは多数あるため、事前に確認をしておくと良いでしょう。また、デバンニングレポートの発行を受けた際は、リマーク欄にコードの記載があるかどうかの確認を怠らないように注意しましょう。
FCL貨物の場合は、コンテナをまるごと仕立てて輸送を行うため、基本的にCYでは開梱せずに、コンテナごと貨物を引き取ることになるので、その場で中身の確認を行うことができません。
そのためコンテナを開梱後に何らかの瑕疵があった場合は、デバンニングレポートに加えて、コンテナ内積付表(CLP = Container Load Plan)といった、コンテナ内のどの位置に貨物が積み付けられているかを示す書類や、受け渡しの際のコンテナの外観状態を表す、機器受渡し票(EIR = Equipment Interchange Receipt)を立証書類と合わせて提出します。
これらの書類は、コンテナに積み付けを行なった時点の貨物の位置と開梱後の位置にズレがあった場合や、輸出地でのコンテナ搬出時の外観状態と、輸入地でコンテナを搬入した際の外観状態に異常があった場合の証明となります。
まとめ
今回は、デバンニングレポートの意味や内容・役割についてご説明しました。
デバンニングレポートは、貨物の受け渡しの際に基本的に作成される書類ですが、場合によっては依頼が必要なケースもあるので、事前に確認を行うようにしましょう。
またデバンニングレポート内のリマーク欄の記載の有無は、何らかのトラブルや事故が発生した場合の責任の所在を表す重要な証明となるため、書類を受け取る際には必ずチェックするように心がけましょう。
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