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D/O(Delivery Order)とは?発行の流れとD/Oの役割について

外国から商品などを輸入する場合、輸入者は荷受業務や通関業務を専門の事業者(フォワーダーや海貨業者、通関業者など)に委託するケースが一般的です。

到着した貨物を通関する際は、原則としてまず保税地域に貨物を搬入してから輸入申告を行います。その後、保税地域に搬入した貨物の引き取りには、D/O(Delivery Order)といった書類が必要になります。

今回の物流手帖では、輸入貨物の引き取り関わる貿易書類「D/O(Delivery Order)」についてご説明していきます。

※本記事は2024年10月時点の情報をもとに作成しています。

D/O(Delivery Order)とは

D/O(Delivery Order)とは、荷渡指図書(にわたしさしずしょ)のことで、保税地域に搬入された輸入貨物を引き取る際に、必要となる貿易書類の一つです。

保税地域とは、外国から輸入した貨物の審査や検査を行うために、税関が指定および管理を行っている地域のことで、港湾地区に隣接されたコンテナ・ターミナルや、空港周辺の区画に設置されている上屋をはじめ、許可を得た物流センターや倉庫の一部などが該当します。

D/Oには主に以下のような内容が記載されています。

・配送依頼(送り先)

・本船名(M/S, M/V)

・航海番号(VOY No.)

・出荷港

・貨物情報(B/L No.や荷印、数量・種類など)

D/Oは貨物を運送した本船の船会社が発行する書類となっており、書類を手配する際には発行手数料(D/O Fee)が必要になります。D/O発行に関連する費用の支払いと、貨物の所有者である証明が確認できた後に、書類が発行されます。

B/L(Bill of Lading)との違い

D/Oと同じく、貨物の引き取りに関する貿易書類にB/Lがあります。

B/L(Bill of Lading)とは、船荷証券(ふなにしょうけん)のことで、運送人と荷送人との間で締結された運送契約に基づいて発行する有価証券です。

B/Lには、①運送契約の証明、②貨物の受領書、③有価証券、④貨物の引換証といった主に4つの機能があり、B/Lそのものに財産的価値があるため、貿易書類の中でも重要な書類とされています。

B/Lは貨物の運送人である船会社が、荷送人から貨物を受け取り、船積みを行なった後に発行し、原本(オリジナルB/L)は通常3通発行され、紛失等のリスク軽減のため、別々に荷受人に送付されます。

荷揚港で貨物を引き取る際には、B/Lを船会社に提出して対象となる輸入貨物の所有権の証明を行ってから、指定の手数料を支払い、D/Oの交付を受けます。

B/Lは貨物の引換証ではあるものの、実際は保税地域に搬入された貨物の引取りには、D/Oの提示(確認・提出)が必要になるので注意しましょう。

D/Oの提出先と貨物の引取り

所定の手続きを行いD/Oの交付を受けた後は、輸入した貨物の保管先にD/Oと輸入許可書(I/P = Import Permit)を提出します。

D/Oは「荷渡指図書」とあるように、貨物の引き渡し(配送)を依頼する内容の書類であり、輸入貨物の保管先に向けて発行されます。そのためD/Oの提出先は、コンテナ船と在来船で運び込まれた場合によって、それぞれ異なります。

・コンテナ船の場合

コンテナ船で輸送された貨物は、到着後、FCL貨物(Full Container Load)の場合は、コンテナ・ヤード(CY = Container Yard)に荷卸しされ、混載便であるLCL貨物(Less Than Container Load)の場合は、コンテナ・フレイト・ステーション(CFS = Container Freight Station)にコンテナごと運び込まれます。この場合、CYまたはCFSのオペレーター宛てに発行されたD/Oをそれぞれ提出します。

・在来船の場合

自家揚げ(Shipside Delivery)の場合は、荷主の責任のもと本船から直接貨物を引き取ることになるため、D/Oは本船の船長宛てに発行されます。総揚げ(Shed Delivery)の場合は、船会社によって貨物を一括して陸揚げするため、D/Oは船会社の委託を受けて実際に陸揚げを行う、陸揚げ代理店(Landing Agent)宛てに発行されます。

このように貨物の輸送方法によって保管先や管理先が異なり、それに合わせてD/Oの提出先も違うため、注意が必要です。D/Oと引き換えに貨物を受け取った後は、保税地域から搬出し、配送先まで運送します。

保証状荷渡し、D/Oレスについて

外国から海上貨物で輸入を行う場合、通常はこれまでにご説明した通りB/L(船荷証券)を船会社に提出し、D/O(荷渡指図書)の交付を受けてから貨物を引き取りますが、場合によっては、B/Lより先に貨物が到着してしまうケースもあります。

その場合は、保証状(L/G = Letter of Guarantee)を船会社に提出する「保証状渡し」といった方法で、貨物を引き取ることができます。

L/Gとは、貨物の引き取りに関して、船会社が何らかの損害を受けた場合に、その損害を補償するといった約束事を記載した書類で、荷受人(輸入者)の信用を補填するために銀行が連帯保証をしている信用性の高い保証状です。

そのほかに、D/Oレス処理で貨物を引き取る方法も、近年では一般的となっています。D/Oレスとは、書類の発行を行わずに、ナックス(NACCS = Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)を活用することで、貨物の引き取り処理を行う方法です。

NACCSとは、貿易関連の行政手続きやその他の民間業務をオンライン上で実行・処理することができるシステムのことで、貨物の早期引き取りやペーパーレス化を実現するために開発されているため、現在システムの活用が進められています。

まとめ

今回は、輸入貨物の引き取り関わる貿易書類「D/O(Delivery Order)」についてご説明しました。

D/Oは、貿易取引における物流業務をフォワーダーなどの専門業者に委託している場合、輸入者が目にする機会が少ない貿易書類ですが、貨物の引き取りに関わる重要な貿易書類の一つです。

輸入した貨物をスムーズかつ素早く引き取るために、D/OやB/Lなどの貿易書類の関係性やシステムの活用、引き取りまでの仕組みを理解しておくことで、貿易取引のリスク軽減を行いましょう。

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