BCP(Business continuity planning 企業継続計画)をすすめている企業はたくさんあると思います。
大災害に直面したとき物流はどの様にして動くのか!?
先の大震災でどのようなことが起こり、物流に携わる人がどのような行動をとったのか。
事例と共に見てみたいと思います。
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災害時に現場を動かすのは個人の行動
想定外の災害が起きると、交通網が遮断され、ガソリンスタンドで思うように燃料調達ができません。
停電で物流施設も被害を受けシステムも稼働していない。
そんな状況でどのように取引先に必要な資材や被災者のための救援物資を集め、必要な場所に配送できるだろうか。
そんな状況下、手探りで作業し、手書きの伝票を作成し、物流を行えるのは人である。
何よりも物流に使命感を持つ物流マンが、どんな過酷な状況下においても自律的に行動し物流を止めずに動かし続けるのです。
大災害時でのライフライン
東北大震災でのライフラインや交通網がどのような状況に陥ったのか。
電気 延べ460万件を超える停電が発生。また、電力供給が不安定なため計画停電も実施
水道 東北3県を中心に160万戸以上が断水。
下水道の処理施設200か所以上が稼働停止。
延べ1000km以上の排水管が被災。
通信 東北、関東で13,000局を超す移動無線基地局が停止。
震災直後から東北・関東を中心に通常の9倍の通話が殺到したため最大90%の通信規制が行われた。
交通網 高速道路15路線、国道172区間、県道等540区間で被災の為通行止め。
NTTファシリティーズ総研のデータより参照
この様に、ライフラインが麻痺し交通網が遮断されれば、会社としての機能がマヒし、連絡もうまくとれない状態が続きます。
こういう状況下では会社としても個人がどう動くのかは自主判断に任さざる負えないようになります。
東北大震災で実際起きた物流マンの行動
ある水産卸業者の例
花房 陵著の「物流リスクマネジメント」より引用
”従業員は帰宅せず、手作業で品出しを行い、ノートに記帳して、わずかに残った燃料タンクの数値を読み取りながら、到着可能距離や方面の配送計画を練り始めている。
「食料を届けなければならないし、行けば何かの支援ができる」
組織力でもない、強い使命感でもない、さまざまな地区から集まってきたドライバー達や物流マンの心から生まれた行動だった。”
宅配大手の例
”「運ぶ商品はなかったが、トラックがあるので救援物資支援ができる」と判断したドライバーが被災地域を回り、自治体の救援物資配送に無償奉仕を行った。後に本社からの「地域救済に従事すべし」という方針が伝わる以前から行動を開始して、最終的には数百台のトラックとドライバーが全国から被災地に集結した。
初動はドライバー個人の自主判断であったことと、権限移譲の仕組があったことだ。”
止まらない物流
「荷物を届けなければ、工場が止まる!」
「救援を待っている人を助けなければ!」
「行けば何かの支援ができる!」
この様な物流マンがもっている使命感が自律的な行動になるのだ。
そして結果として物流をなんとしてでも止めないような行動になるのです。
平時では競合関係であった者同士が、被災地への救援物資を届けるという目的に向かえば、強調関係を築くことができるのです。
ですが、これは全ての人がこのような行動をとれたわけではありません。
本来人は、起きるはずも無い事を信じたり、起きるに違い無い事を軽視しているものです。
「地震なんて起きるはずがない」と考えているといざ地震や災害が起きると行動できなくなります。
そこで、企業としては、訓練や話し合いを通じ社員一人ひとりが
「もし地震がおきれば、~が起きるかもしれない」
という感性を高めておく必要がある。
この様な危機意識を持たせ覚悟させることがBCP策定の根底に必要である。
弊社(㈱アスト中本)でもあゆみのロジフォレストという災害に強い新倉庫を2017年に開設したことをきっかけに、より災害に強い企業体質を作るべく社内活動を始めています。
先日安否確認のシステムを導入し、全社員向けに安否確認メールを送る訓練を行いました。
社員の消息をいち早く把握できる仕組みを作っている所です。
今後も会社のBCPはもちろん、個人でのBCPも強化し、最終的には災害時でも的確な自己判断ができる個人を作って行くことが目標になります。