時代とともに消費者ニーズも多様化し、いかに消費者目線で物事を考えられるかが重要になりつつあります。
その中で様々な業界の流通過程において、商品に付加価値をつけて販売する「流通加工」といったサービスが広く導入されています。
今回の物流手帖では、流通加工の意味や加工内容の種類、また導入時におすすめなアウトソーシングと委託先の選び方についてご説明していきます。
※本記事は2024年5月時点の情報をもとに作成しています。
流通加工とは
流通加工とは、生産した商品が消費者の手元に届くまでの間に、商品そのものや付属品に施す加工業務全般のことを指しています。
主な加工内容は、食料品の検品や検量、アパレルや寝具類の検針、お歳暮やお中元などの季節もの、イベント関連グッズの箱詰め、値札やタグ付けなど様々で、それらの作業は一般的に倉庫や物流センター内で行われています。
流通加工を行う目的は、商品の付加価値を高めることにあり、流通過程においてその工程を踏むことで、より消費者のニーズに沿った商品を提供することができます。
例えば、アソートといった加工では、異なる味のお菓子を1つの箱に複数詰め合わせることで、消費者が組み合わせを選べるといった付加価値に繋がっています。
その他には、リパックといった大容量の商品を小分けにしたり、パッケージや化粧箱を入れ替えて商品イメージを刷新するために行われる加工や、輸入品のラベルや値札、タグなどを日本語に変換して貼り替えまたは付け替えるといった業務も、商品の付加価値を高めるために行われている流通加工の一種です。
さらに流通加工は、商品の付加価値を高める目的に加えて、物流面での効率化にもつながっています。
物流には様々なリスクがつきものですが、そのうちの輸送時のダメージを抑えるために、一般的に商品は梱包された状態で輸送が行われています。
梱包形態は輸送距離が長ければ長いほど大型化されており、最終的に一般の消費者の手元に届けられる際の梱包は、商品単位の状態がほとんどで、基本的にその商品に適した包装が施されています。
これらの包装も流通加工の一部であり、例えば、化粧箱の内部に緩衝材を敷き詰めることで箱の内部で商品が動かないようにしたり、パッケージの劣化を防ぐためのシュリンク包装(特殊なフィルムで覆う包装)を行なうことで、商品の状態の維持につながり、物流面においても運搬しやすい形状になるため、作業の効率化にもつながっています。
流通加工の種類
流通加工で行われている加工の種類は、アパレルや食品、機械類の製造業など業種によって様々ですが、実際にどのような作業が行われているのか、一部の事例をご紹介します。
<流通加工の事例>
・入荷した商品の内容量を規格と照らし合わせて調整する検量。
・商品の状態や品質、動作確認などを行う検品。
・商品ラベルの作成から貼り付け、輸入商品の製品表示ラベルの貼り替え。
・化粧品や雑貨、CDやDVDなどのパッケージ劣化を防ぐ透明のフィルムで商品を覆うシュリンク包装。
・お菓子やギフト関連のグッズなど、同じ品目や色々な種類の商品を詰め合わせるアソート。
・多品目の商品の抱き合わせたり、大容量の商品を小分けにして新たに包装を行うリパック。
・季節やイベントごとにデザインされた化粧箱の箱詰めやラッピング。
・アパレル商品の値札やタグ付け、検針やシワを防ぐためのハンガー掛け。
・機械の組立に必要なパーツの検品や分類、サブアッシー加工、部品の組み立て。
流通加工は、商品の種類によって様々な加工が施され、どの作業も商品の付加価値を高めるための加工や、納品段階の引き上げによる供給面の効率化のための加工が施されています。
流通加工のアウトソーシング
流通加工を自社で行うには、相応の設備が必要となり、なおかつ加工業務に携わる人員も補填する必要があるため、加工業務の全部または一部をアウトソーシングする方法が利用されています。
理由としては、比較的細かな加工業務が多く商品ごとに加工内容も変わるので、自社工場等のライン生産の工程に組み込むより、外部に委託してしまった方が効率的と考えられているからです。
またコスト面においても、設備費用や人件費といった複数のランニングコストを必要とせず、外注費のみで賄える点もメリットとしてあげられています。
アウトソーシング先の決め方、選ぶ際のポイントとは?
アウトソーシング先の決め方として、まずはサービスを提供している企業の得意分野を確認するところから始めていきましょう。
理由は、すでに同一の加工実績がある場合、完成イメージが予想しやすく、作業効率も把握しやすいためです。
次に委託時にかかる作業コストも重要となります。
料金体系は企業によって様々ですが、一般的には点数あたりの単価で設定される場合が多いようです。
また自社工場からのアクセス面を考慮することも大切です。
距離が遠くなればなるほど輸送コストがかかってしまい、何らかの問題が発生した際のリカバリー対応においても、物理的な距離はタイムロスにつながるので、サービス内容やコスト、アクセス面など幅広い観点から委託先を比較・検討を行いましょう。
まとめ
今回は、流通加工の意味や加工内容の種類、また導入時におすすめなアウトソーシングと委託先の選び方についてご説明しました。
流通加工は、生産から消費者の手元に届くまでの過程において重要な役割を担っている工程の一つです。
導入形態を問わず、綿密な情報共有を行うことが大切で、特にアウトソーシングをする場合は、委託先といかに連携できるかが重要となります。
スムーズに連携が取れないと、かえって手間がかかってしまったり、余計なトラブルにも発展しかねません。
いつ・なにが・どれだけ必要なのか、在庫状況やタクトタイムに問題はないのかなど、常に変動する市場の移り変わりに柔軟に対応するため、委託先とはコミュニケーションがしっかり取れる関係性を保つことが重要です。
また流通加工と合わせて、在庫管理も委託先に一任する「VMI」といった方法も現在では取り入れられています。VMIについて、詳しくは以下の記事でご説明していますので、ぜひご覧ください。
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