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輸入消費税と関税、それぞれの違いについて

海外から日本国内に貨物を輸入する際、到着した貨物は原則として、一度保税地域と呼ばれる特定区域に保管されます。

その後は輸入申告を税関に届出をしてから審査・検査が行われ、その際に納税が必要な場合は税金を納めることで、輸入許可すなわち貨物の引き取り許可がおりるといった仕組みになっています。

輸入の際に納める税金は輸入時の状況によって異なりますが、今回の物流手帖では、なかでも輸入消費税と関税の概要、それぞれの違いについてご説明していきます。

※本記事は2023年6月時点の情報をもとに作成しています。

 

輸入消費税について

輸入消費税とは、保税地域に保管されている輸入貨物を引き取る際に課税される消費税のことです。

一般的な消費税は、国内で行われるBtoBやBtoCなどの様々な取引(サービスの提供や商品の販売など)において課税されるものですが、外国から貨物を輸入する際にも課税されます。

また対象となる取引において、消費税と併せて課税される地方消費税も、輸入取引の際に課税されるものとなっています。

地方消費税は、消費税と同様に様々な取引において課税されるものですが、違いは消費税が国に納める税であるものに対して、地方消費税は各都道府県に納める税となります。

輸入消費税の納税は、輸入貨物を引き取る者が行うので、たとえ免税事業者や個人であっても、輸入貨物を引き取る際には納税の義務を負うことになります。

 

輸入消費税額の出し方

輸入消費税の算出方法は、CIF価格に個別消費税と関税を足した値に税率を掛けた額が輸入消費税として課税されます。

CIF価格とは、Cost(価格)Insurance(保険)Freight(運賃)の意味で、本邦までの輸送にかかった運賃や関連費用、保険費用などの合計価格です。

インコタームズ上でのCIFは、海上および内陸水路輸送のための規則とされていますが、関税や消費税の課税標準となるCIF価格は、航空輸送の場合も同様に計算されます。

 

例)

CIF価格 550,315円 関税率14% 消費税率 7.8% 地方消費税率 22/78 の場合

550,000 × 0.14 = 77,000 円(関税額)

550,315 + 77,000 = 627,315円(課税標準額)

627,000 × 0.078 = 48,906円 = 48,000円(消費税額)

48,000 × 22 ÷ 78 = 13,538円 = 13,500円(地方消費税額)

※CIF価格は1,000円未満の端数、税額は100円未満の端数は切り捨てになります。

輸入貨物にかかる消費税においても、軽減税率(消費税 6.24% 地方消費税 1.76%)が適用される貨物があるので、事前に確認するようにしましょう。

 

また、課税標準となるCIF価格の運賃は基本的に発送元から本邦までの運賃となりますが、輸入貨物がドア・ツー・ドアのサービス場合は、通関手続きの際に申告する運賃を本邦までの運賃と、国内の消費者の手元までの運賃の項目に分けておく必要があります。

明確に運賃の明細が把握できない場合は、合算費用が課税標準対象となってしまうので、注意が必要です。

 

技術貿易の場合はどうなる?

技術貿易とは、海外の企業や個人の取引先に対価を支払うまたは受け取って、ノウハウや技術などを取引することですが、貨物の輸入とは違った技術輸入(技術導入)の場合は課税の対象にはなりません。

あくまでも輸入取引上において課税対象にならないというだけであって、国内で行われる技術指導料などは消費税の課税対象になるので注意しましょう。

 

関税について

国内に輸入された貨物は、まず保税地域に保管されますが、ここでいう保税とは関税の賦課を留保している状態のことで、保税地域から貨物を引き取る際には関税を支払わなければなりません。

日本では輸出の際に関税は課されないものと定められているので、必然的に関税は輸入関税といった意味合いになります。

 

関税として課される税率や関税の制度は、世界各国がそれぞれの法律に基づいて定めているもので、品目ごとに細分化されているので、その全てを把握するのは非常に困難です。

そのためこれらの制度を各国が簡素化・統一することで、スムーズな国際貿易を取り計らうことを目的とした、関税協力理事会(CCC:現在は世界税関機構 WCO)が発足しました。

 

WCOが管理している条約にHS条約がありますが、これは商品の名称および分類についての統一システムに関する条約のことで、この条約に基づいて振り分けされている番号をHSコードといいます。

HSコードには分類された商品の品目ごとに税率が定められており、日本の関税率表でも採用されています。

 

関税額を算出する際は、輸入する貨物に該当するHSコードを探して、そこから税率を計算することになりますが、その際に誤ったHSコードを参照してしまうと、場合によってはペナルティが課されることもあるので注意しましょう。

 

輸入消費税と関税の違い

ここまでご説明したように、輸入消費税とは輸入取引にかかる税金のことで、関税とは輸入する貨物にかかる税金のことを指しています。

納税のタイミングは輸入形態によって異なりますが、基本的には通関手続きを行う際に納付します。

 

まとめ

今回は輸入消費税と関税の概要、それぞれの違いについてご説明しました。

実務上では、さらに詳細に確認を行う必要がある内容となっていますので、事前にしっかりと情報収集を行い、取引先と認識のずれが起こらないように注意し、必要であれば通関業者などの専門家に委託することで、ビジネスの負担を軽減することができます。

輸入取引については、以下の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

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