物流基礎知識 輸出・輸入

貿易取引の流れとは?国内取引との違いについて

現代では急速なグローバル化にともない、国際社会全体が一つの大きな市場となっているため、取引規模の大小に関わらず様々なシーンで国を跨いだ貿易取引が行われるケースも珍しくありません。

今回の物流手帖では、貿易取引の流れや国内取引との違いについてご説明していきます。

 

※本記事は2024年6月時点の情報をもとに作成しています。

 

貿易取引の流れ

他国と貿易取引を行う際には、商品を販売(輸出)する側の立場であっても、購入(輸入)する側の立場であっても、基本的には、①契約・②国際輸送・③決済の3つのステップを軸に取引を進めていきます。

これらの取引の流れは大きく見れば国内での取引の流れと変わりがないですが、貿易を行う場合は異なる国の企業または個人との間で行われる商取引のため、国際社会となった現代とはいえど、言語や法律、通貨だけでなく、文化や価値観といった部分まで、全てが異なるということを念頭に置いておく必要があります。

 

取引先の選定

まずは①の契約に至る前に取引先の選定を行います。国内で取引先を探す場合もそうですが、貿易となるとマーケティングを行う範囲が大きく広がるため、一から開拓を行う場合のハードルも必然的に高くなります。

そのため、まずは多くの情報や現地の感覚を得るために、海外で開催される展示会や見本市への参加・出展を行ったり、エキスポなどをはじめとするビジネスイベントに参加することもおすすめします。

そのほかにはジェトロ(日本貿易振興機構)や商工会議所、海外進出や販路開拓の支援を行なっている業者や代理店などからサポートを受けることも選択肢の一つです。

 

契約・国際輸送・決済

引き合いを済ませたら、契約の締結に向けて事前に取引対象となる相手先の信用調査を行なった上で、売買を行う商品の数量や価格、納品までのスケジュールや支払方法などの細かい条件を提示していきます。

貿易実務上では、これらの提示を売り手側から行う場合は「Selling Offer」、買い手側から行う場合を「Buying Offer」といいます。

海外の取引先に対して信用調査を行う方法は、自社の取引銀行に照会をする方法や信用調査機関に依頼する方法、そして相手先の主要取引先に照会を依頼する方法などがあります。

また貿易の取引条件を決める際には、インコタームズ(最新版はインコタームズ2020)といった国際商業会議所が制定した共通の貿易条件を基準に、それぞれの費用負担や責任等の具体的な範囲を設定することが一般的とされています。

②の国際輸送を行う際には、各国税関による通関手続きと関係書類の準備が必要(EMSなどを除く)で、そのほかにもインボイスやパッキングリストなどの船積書類や、国際輸送に関係する書類の作成や手配を行わなくてはいけません。

これらの各種手続きや書類作成業務は専門的な実務となるため、通関業者やフォワーダーなどに依頼をすると良いでしょう。

③の決済については契約時の支払条件に沿って行われますが、手続きが簡単な点や手数料も比較的に安価な点から、最近では海外送金で行われるケースも多く、この場合は貨物の引き取りもスムーズに行われます。

 

国内取引との違い

国内で行われる通常の商取引との違いは、大きく分けて以下の4点があげられます。

  1. 信用リスク
  2. リードタイム
  3. 異なる通貨で行う取引
  4. 法制度

貿易取引は、国内の取引相手に比べると必然的に信用リスク(不安)が高まります。

理由は物理的に距離が離れているため、何か問題が発生した場合の対応をスムーズかつ迅速に行うことが困難であるためです。

 

また、輸出や輸入となるとリードタイム(注文から納品までにかかる時間や日数)がかかり、輸送距離が長ければ長いほど輸送時の貨物ダメージや品質劣化のリスクも高まります。

 

距離的な不安だけでなく、異なる通貨で取引を行う場合は、外国為替の影響による変動リスクを考慮しておく必要があります。

為替相場は日々変動するので、極端な変動が起こった場合は損失となることも考えられます。

決済方法は、取引先と直接やり取りを行う海外送金や、銀行を保証人とした信用状(L/C)取引での決済、そのほかに最近では代金の一部を前払いし、残りの代金は商品の受け取りから契約に基づいた支払期限までの間に入金する方法など様々です。

 

これらのリスクをカバーし、双方が安心して取引を行うために、通常の国内取引とは異なる、国によって定められた様々な輸出・輸入規制法が存在しています。

これらは貿易を行うための必須条件として、取引を行う主体者および相手先の双方が、お互いの国の法律をしっかりと理解しておくことが重要となります。

 

また取引を行う商品によっては他法令といって、事前に特別な許可や申請が必要なケースも頻繁にあるので、相手先の国から輸出されているけれど、商品が自国の港で止まっていて輸入ができない、といったトラブルにならないよう注意しましょう。

 

まとめ

今回は、貿易取引の流れや国内取引との違いについてご説明しました。

貿易取引には国内の取引とは違った様々なリスクが存在しますが、人や情報、様々な商品やサービスが世界を行き交う今の時代において、海外市場を見据えたビジネス展開を検討することは、新たなチャンスを見出すきっかけに十分な期待が持てるといえます。

補足説明として、貿易の仕組みや様々な貿易形態の種類、そこに関わる物流業者の役割について、以下の記事でご説明していますので、ぜひご覧ください。

 

 

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