海上運賃の種類とコンテナの輸送にかかる費用とは？

輸出・輸入にかかる輸送費用は様々あり、例えば工場で生産した商品を、港や空港まで輸送する費用や、そこから取引先の相手国まで商品を輸送するための海上運賃や航空貨物の運賃、また仕向地に到着してから倉庫や納品先まで搬入する際の輸送費用などがあります。

他国の取引先と輸出・輸入を行う際は、事前に売主と買主の双方で締結された取引条件（インコタームズ）によって、費用や危険負担の範囲が決められますが、なかでも輸送にかかる費用は、その時の世界情勢によって大きく変動する費用の一つといっても過言ではないでしょう。

今回の物流手帖では、日本国内の輸出・輸入における国際貨物輸送量の大部分を占める、海上コンテナ輸送にかかる費用、海上運賃についてご説明していきます。

※本記事は2023年8月時点の情報をもとに作成しています。

海上運賃の種類

国際貨物の海上運賃（Freight）の決定方法は2種類あり、一つは自由運賃と呼ばれる運賃で、荷主と船会社との間で自由に設定できる運賃となっています。

自由運賃は、コンテナ輸送をはじめとした定期船での輸送時に適用される運賃ではなく、主に不定期船で海上輸送を行う際に適用される運賃です。

不定期船とは単一の貨物を大量に輸送するための専用船のことで、自動車専用船や、石炭・鉄鉱石、穀物等を運ぶドライバルク船などが該当します。

自由運賃の料金は、国際社会のニーズや経済の需要と供給などの状況に応じて、各市場で自由に競争が行われるため、価格が一定ではありません。

現在の海上輸送は特殊な貨物を除いて、一般貨物の殆どがコンテナを使用した定期船で海上輸送が行われており、同じ航路を運行する船会社も多数存在します。

そうしたなか船会社同士の価格競争の激化を避けるため、定期船を運行する複数の船会社によって海運同盟（Shipping Conference）と呼ばれる国際カルテルが結成されています。

海運同盟に加入している船会社では、協定された運賃率（Tariff Rate：タリフ・レート）に基づいて、表定運賃が適用されています。

海上運賃に含まれる費用には、基本運賃（Base Rate）と割増運賃（Surcharge）があります。

基本運賃は、輸送する貨物を品目別に細かく分類して、港から港までの運賃を設定する場合や、コンテナ単位で設定される運賃（Box Rate：ボックス・レート）、貨物の容積のトン数または実重量のトン数の高い方のトン数（Freight Ton：フレート・トン）をベースに設定される運賃など様々あります。

割増運賃は、燃料費の高騰や取引を行う通貨の変動によって左右される、本来、基本運賃で得られるはずの利益を調整するために設けられた運賃です。

割増運賃には、BAF（Bunker Adjustment Factor：燃料費の変動を調整）やCAF（Currency Adjustment Factor：通貨の変動を調整）などといった運賃があります。

海上運賃は基本運賃と割増運賃によって構成されていますが、そのほかにも関連費用としてこれらと合わせて加算される費用がいくつかあり、例えば以下のような項目が追加されることがあります。

■CFSチャージ

CFSで行うコンテナ単位以下の貨物の混載や取り出し作業、CYとCFS間の搬送などにかかる費用

■ターミナル・ハンドリング・チャージ

コンテナ単位の貨物をターミナル内で取り扱う際に発生する作業費用

■アライバルノーティス（貨物到着案内）作成費用

■B/L（船荷証券）の発行手数料

そのほかにも仕向地や輸送する航路によって特別に必要となる費用もあるので、あらかじめ確認するようにしましょう。

今回は海上コンテナ輸送にかかる費用、海上運賃についてご説明しました。

輸出・輸入において、海上輸送は一度に大量の貨物を輸送することができる唯一の手段で、現代社会の豊かな生活を維持するには必要不可欠な輸送手段のため、世界情勢に連動して日々、運賃も変化しています。

運賃の変化は商品価格等にダイレクトに影響を及ぼすため、輸出・輸入を行う際は、状況に応じて柔軟に対応できるよう事前に情報収集を入念に行うことが大切です。

輸出・輸入にかかる費用は海上運賃だけでなく、輸入後にかかる費用などもあるので、ご参考までに以下の記事もぜひご覧ください。

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