物流は商品が消費者の手元に届くまでの大きな流れのことをいいますが、生産された商品を目的地まで運び届けるまでの過程には、海外からの輸入や輸出に関わる工程をはじめ、流通加工や保管、在庫管理などの様々な工程があり、それらは物流の機能を維持するために重要な役割を担っています。
現在の経済活動を維持する上で物流の需要は必須と言っても過言ではなく、生産から消費に至るまでの全体の流れには、各拠点間を繋ぐいくつもの小さな流れ(物流)が存在します。
例えば、内陸の工場から港湾エリア・空港までの輸送や、保管先の倉庫からエリア内配送を行うための配送センターまでの輸送などです。
保管先の倉庫などから最終の納品先までの区間は近ければ近いほどリードタイムが短縮され、運搬にかかるコストも抑えることができるため、配送エリアが各地に点在している場合は、中継地などに物流拠点を設けることが一般的です。
場合によっては逆に拠点を集約することで、物流に関連する様々なコストを抑えることができるケースもあるので、戦略的な物流拠点の最適化が重要と考えられています。
今回の物流手帖では、物流拠点の集約と分散化のメリット、関連して近年話題となっている2024年問題についてご説明していきます。
※本記事は2024年3月時点の情報をもとに作成しています。
物流拠点の集約と分散化
物流拠点の運用を考える際、まずは拠点を自社で設けるのか、他社に委託または他社が運営する施設を間借りするのかに分けられます。
自社で物流拠点を設ける場合は、規模や立地条件、設備やシステムなど必要となりうる物流機能を有した施設を設立することができるため、自社の目的に合った拠点を構築することができます。
この場合は当然のことながら、設立に膨大なコストと新施設で働く人員確保のためにかかる採用コスト、また人材育成や教育などにかかるコストも大きいため、多くの場合は、後者の他社に委託または他社が運営する施設を利用することになります。
最近では様々な物流機能を有した施設があるため、自社のニーズに合った施設を利用しやすい環境になっています。
例えば、商品の入荷から積み替え・仕分けを行なって出荷するための施設や、それに加えて流通加工や保管機能などが備わった施設などがあり、立地も工場や港湾エリアに近く都市部にもアクセスしやすい場所にある施設や、消費エリア近郊に位置している場合など様々です。
物流拠点の集約または分散化を行う際は、商品の性質やサービスの特性と、目的とする物流拠点の最適化に繋げるために必要な機能や要件、さらに求められている自社のニーズなどを照らし合わせた上で、戦略的に導入を行なっていく必要があります。
物流拠点の集約と分散化のメリット
物流拠点の集約と分散化にはそれぞれにメリットがあり、一概にどちらが良いというわけではなく、自社の物流戦略に合った方を適切に選ぶことが重要です。
物流拠点の集約のメリットは以下などがあげられます。
・設備利用料や在庫管理にかかるコストを抑えることができる
・物流拠点までの輸送コストを削減することができる
・自社で管理している場合は人件費を削減することができる
物流拠点を集約する際、まずは分散していた在庫を一つにまとめるためのスペースを確保する必要があるので、これまで以上に大型の施設に移行するか、すでに利用している施設に余分なスペースがある場合は利用スペースを拡大する必要があります。
複数の拠点を利用している場合は、施設の設備利用料を抑えることができ、在庫管理も一拠点に集約されるため、各拠点ごとの在庫分配や調整などにかかる管理コストの削減に繋がります。
また工場や港、空港などから物流拠点までの輸送先を一箇所にすることができるため、その間の輸送コストが削減でき、さらに物流拠点の管理や運用を自社で行なっている場合は、人件費削減にも繋がることに期待が持てます。
次に物流拠点の分散化のメリットをご紹介します。
・最終納品先までの配送コストが削減でき、リードタイムを短縮できる
・エリアごとの需要に合わせた在庫管理ができる
・災害時などのリスク分散(BCP対策)に繋がる
・2024年問題の解決に繋がる
物流拠点を分散する場合、考えられるメリットは様々ですが、各エリアごとの需要に合わせて在庫調整ができる点や、最終納品先までの配送コスト削減、商品を届けるまでのリードタイムの短縮ができるといった点が大きな利点としてあげられます。
また災害時などのリスク分散(BCP対策)にも繋がり、近年話題になっている2024年問題の解決策としても、物流拠点の分散化によるドライバー1人あたりの配送時間の短縮に期待が持たれています。
2024年問題とは
2024年4月より開始される「働き方改革関連法」の適用を受け、物流業界では企業体制の改善や業務内容の調整など、法令遵守のための様々な対策に迫られており、これらは「2024年問題」として数年前から話題となっています。
具体的にはドライバーの時間外労働の労働時間の上限が制限されるといった内容で、必然的にドライバー1人当たりの貨物輸送距離(=労働時間)が短縮するため、企業全体としての貨物輸送量の減少につながり、それと同時に売上も減少していくことが予想されています。
この問題の直接的な解説策として考えられる対策は、人員をこれまで以上に確保することで運送する物量を増やすまたは維持することですが、コロナ禍あるいはそれ以前より、物流業界全体でドライバーの人手不足や高齢化といった課題を抱えているため、求人戦略なしに雇用を増やすことは容易ではありません。
また時間外手当などが定期的に発生している在職中のドライバーの場合は、その分の賃金が減少することから離職を検討するケースもあるでしょう。
そうなると雇用主は賃金を上げざるを得なくなり、その分の費用はサービス料金を上げるほかならなくなるので、他社と価格競争になった場合は有利に立てなくなってしまう可能性も少なくありません。
このように2024年問題で挙げられている課題は様々ですが、一概に働き方改革関連法の全てが問題視されているわけではなく、実際に働く人にとっては労働時間や拘束時間が減ることで負担が軽減されるなどのメリットもあります。
また企業も様々な対策を講じる必要があるため、これまで以上に体制や仕組みの効率化が進み、新たな利益を生み出すことに成功する可能性も十分に考えられます。物流拠点の集約や分散化も、これら企業体制の変更や効率化のための対策のうちの一つとされています。
まとめ
今回は、物流拠点の集約と分散化のメリット、関連して近年話題となっている2024年問題についてご説明しました。
物流拠点の集約や分散化にはそれぞれメリットがあるため、戦略と目的に合った方法を取捨選択する必要があります。
今後は法改正の影響も考慮し、顧客サービス向上だけでなく自社の運営体制の最適化などのバランスを保つことが重要となります。
物流拠点も同時に進化と進歩を続けており、2024年8月には南大阪エリアの内陸部である、和泉市あゆみ野に大型物流センターが誕生しますが、アスト中本ではグループ全体で当該物流センターのワンフロア約6200坪を取得しています。
関西国際空港や住之江南港からも行き来しやすく、物流センターの近隣には高速ICがあるため、都市部へのアクセスも良好な立地です。
さらに自社倉庫である「あゆみのロジフォレスト」も同エリアに隣接しているため、倉庫間の連携で実現可能なサービスも幅広く、国際貨物から国内の配送・流通加工まで柔軟な対応ができる体制が整っています。
詳しくは当社のHPまたは下記の問い合わせ先までご連絡ください。
物流に関するご質問またはご相談などはこちら
アスト中本では、国内外の貨物輸送をはじめ輸出入に関わる業務を一貫して承っております。
また物流に関する身近なお悩みごとや改善・対策についてのご相談も受け付けております。
お問い合わせは、以下の連絡先にお電話いただくか当サイトのお問い合わせフォームからご連絡ください。
株式会社アスト中本 ロジスティクス営業部
〒556-0004
大阪府大阪市浪速区日本橋西1丁目2-5 Aiビル3階
TEL: 06-6633-0077