物流基礎知識 輸出・輸入

ATAカルネ(通関手帳)とは?事前準備と手続きの流れ

2018年3月14日

今回の物流手帖では、備忘録も兼ねて、カルネでの国際輸送で事前に準備しておくと良い点ついてご紹介します。

【カルネ通関が必要になる場合】

・海外での展示会で一時的に商品展示やプロモーションを行う場合
・海外でのイベントで機材や備品を持ち込む場合
・その他の理由で、一時的に海外に見本や商品、機材等を持ち込み、再度日本へ持ち帰る場合

主にこのようなケースに該当する方が対象です。

 

※本記事は2025年9月時点の情報をもとに作成しています。

カルネ手帳とは

正式名称はATAカルネといいます。

「物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)」のことです。

といっても理解しにくいので、わかりやすく説明すると、展示会やスポーツイベントなどで、
物品や機材などを開催国に送る場合(手荷物ではなく)は、相手国からすると輸入する形になります。

輸入の場合は、持ち込む物品により規制やライセンスの問題をクリアした上で通関手続きを行わなければいけません。

そして場合によっては課税されることもあります。
展示会やイベントによっては、色々な国に立ち寄る場合があるので、その都度、輸出・輸入の通関が発生します。

このような煩雑な手続きを省くために出来た仕組みが「カルネ手帳」での通関です。
カルネ手帳はパスポートのような手帳になっており、有効期間は発給日から1年間。ATAカルネの加盟国であれば、有効期間内に何カ国でも出入りができるようになる便利な手帳です。

カルネで通関 輸出前にしておくこと

カルネを利用した通関で、輸出前に準備・確認をしておくと良い点は以下などがあります。

①固有の番号と画像
カルネ申請時に物品表(物品リスト)を作成し、
その際に物品すべてに固有の番号をつけます。

また、それぞれの写真を撮っておくことで、送り先国での輸入時や輸出時に全ての物品が
揃っているかの確認が取りやすくなります。

②梱包に気を付ける
梱包をする際は、往復することを前提に国際輸送に耐えうる梱包形態が良いでしょう。
一般的に貨物が重たい場合は木枠での梱包になります。

通常、木枠の梱包では釘を使いますが、
カルネのように往復させることを前提としている場合は、ネジを使用します。

そうすることで、簡単に木枠から物品を取り出したり、
返却する際に木枠の再利用をすることができます。

チラシや販促物など、現地で消費してしまうものとは分けて発送します。

なお、現地消費するものは、通常の輸入手続きを行う必要があるのでご注意ください。
(インボイスも分けて別々に通関)

カルネ通関:輸入地での注意点

カルネを利用した通関で、輸入地での注意点をご紹介します。

①中継地点を確保しておく
港の倉庫のCFS(Container Freight Station:混載貨物専用倉庫)というところでは、
細やかな対応は行ってくれません。

そのため梱包を開けて貨物を出す作業や、短期間保管し、
再度梱包する中継地点が必要になります。

一般的に展示会やイベント会場は、搬入・搬出の期日が決められているため、
直接納品をすることが難しいケースが多いです。

②作業範囲の確認
物流業者にどこからどこまで物品を運んでもらうのか、あらかじめ確認をしましょう。
物流業者は車上渡しが通例です。

※車上渡しとは
トラックの荷台で引渡しが完了すること。
荷卸し作業は受取人が行うこととなります。

そこでトラックから会場の展示場所までどのように運ぶのかを、自分達で行うのか、
物流業者にお願いするのか、事前にしっかりと確認します。

カルネ通関:再輸出について

展示会やイベントが無事終了した後は、貨物の返送準備に入ります。
この際、梱包前の貨物チェックは必ず必要です。

全ての物品が揃っているか、ここでも写真を撮っておきましょう。
撮影した画像があると通関もスムーズに行われます。

「これはすぐに必要なんだ」とカルネで輸入したものを自己判断で持ち帰ってはいけません。

カルネ手帳のリストに載っているものはすべてリスト通りに梱包してください。
そして手帳は貨物と一緒に保管し、紛失しないように管理が必要です。

手帳を紛失した場合は、再発給に時間と労力がかかりますので、
手帳の管理は怠らないようにしましょう。

日本に到着後は、輸入通関が終われば全て終わり、というわけにはいきません。
カルネ手帳の利用が終わった後は、カルネ手帳を返還する必要があります。

最初に担保金を提出していた場合は、ここで返還されます。

まとめ

今回は、カルネでの国際輸送で事前に準備しておくと良い点ついてご紹介しました。

海外での展示会やイベントなどは、貨物が日本から海外までを往復する輸送になりますので、
国内で貨物を運ぶのと比べると大きな違いがあります。

海外に運ぶ以上、海外の規制を遵守しなければいけません。

その際、事前に準備をすることで税金を払わずに済むのであれば、
カルネ手帳の利用をおすすめいたします。

関連記事として、以下の記事では、
ATAカルネの加盟国とデジタル化について解説していますので、ぜひご覧ください。

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