日本における2024年の輸出総額は4年連続で過去最高額を更新し続けており、今後も経済情勢によって増減はあるものの、今や日本だけでなく世界各国にとっても貿易はなくてはならない国際的な繋がりであるため、貿易における貨物の輸送方法や仕組みなどは、取引を行う主体者それぞれにとって重要な役割を担っているといえます。
今回の物流手帖では、輸出を行う際に必要な貿易書類の一つでもあるShipping Instructionの意味や記載内容・役割についてご説明していきます。
※本記事は2024年12月時点の情報をもとに作成しています。
Shipping Instructionとは
Shipping Instruction(S/I = シッピングインストラクション)とは、船積作業依頼書のことで、輸出者が海貨業者や通関業者、フォワーダーなどに輸出作業を依頼する際に提出する書類です。海上貨物で輸送する場合だけでなく、航空貨物(航空便)で輸送する場合でも提出を求められることがあります。
Shipping Instructionには決まった様式があるわけではなく、輸出者が自社規定のフォーマットに沿って作成する場合と、海貨業者や通関業者、フォワーダーなどが用意したフォーマットをもとに作成する場合があります。貿易の取引条件が信用状(Letter of Credit)取引で行われる場合は、信用状の記載内容に従って記入する必要があるので注意しましょう。
Shipping Instructionの記載内容
Shipping Instructionに記載する主な項目は、以下のような内容があります。
・Shipper(荷送人である輸出者の情報)
・Consignee(荷受人である輸入者の情報。信用状を介した取引の場合は、記名式ではなく指図式となるため、To order of Shipperまたは To orderなどの表記をします)
・Notify party(貨物到着案内の通知を受ける連絡先情報。通常は輸入者やフォワーダーなどの代行者の連絡先を記載します)
・Invoice No.や管理番号、日付(記載規定はありませんが、Invoiceナンバーや管理番号を記載します。日付はShipping Instructionの書類作成日を記載します)
・Type of Service(海上・航空等の輸送サービスを記載します)
・Booking No.(船会社または航空会社が発行する本船や航空機の予約番号)
・Vessel / VOY No. / ETDやETA(Vesselは貨物を積載する船名。またVOY No.に航海番号、ETD = Estimated Time of Departureには本船または航空機の出港予定時刻、ETA = Estimated Time of Arrivalに入港予定時刻を併せて記載する場合があります)
・Place of Receipt / Port of Loading(貨物がどこから輸出されるかを記載します。航空便の場合は空港名と国名、または都市名と国名を記載します。例「Narita, Japan」または「Tokyo, Japan」など。海上貨物で輸送する場合は港の名前と国名を記載します。例「Yokohama, Japan」または 「Tokyo, Japan」など)
・Ship’s Co.(海上輸送または航空輸送を実施する貨物輸送サービス提供元の会社名)
・Port of Discharge / Place of Delivery / Final Destination(貨物がどこに輸入されるか、本船または航空機から貨物の積卸を行う港湾または空港の情報を記入します。併せて貨物の引き渡し場所の情報や、最終的な貨物の配送先の情報を記入する場合もあります。)
・Marks & Numbers(ケースマークやケースナンバーを記入します。貨物現物の情報と一致していることが必須ですが、貨物にマークなどを貼付していない場合はブランクすなわち空欄とします。N/M = No Markと記載する場合も同義となります)
・Description of Goods(貨物内容の詳細を記入します。一般的にはInvoiceの内容に合わせて記載しますが、)
・Quantity(貨物の数量や重量、容積重量 = M3などを記載します)
・その他(B/Lの種類や運賃等の支払い条件、貨物引渡条件などを記載します。運賃の支払い条件は、輸出者と輸入者との間で交わされる、売買契約の締結時に決められた貿易条件 = インコタームズの内容によって支払われます。Prepaidは前払いとなるため輸出者が支払います。Collectは後払いのため輸入者が支払います)
Shipping Instructionの役割
輸出者は、Shipping Instructionの書面を使用することで、貨物の引取りや梱包、コンテナ詰め、検量の手配、通関、運送人への貨物の引渡し、B/Lの取得など、貿易に関わる幅広い業務を専門的に取り扱う業者に作業を依頼することが可能になるため、重要な貿易書類のうち一つとされています。
一般的にはShipping Instructionを提出する際、添付書類としてインボイスやパッキングリスト、輸出許可証や貨物検査の完了を証明する書類などの関連書類を併せて提出することも多いため、事前に依頼先の海貨業者やフォワーダーなどに確認を行うようにしましょう。
またShipping Instructionに記載された情報や内容をもとに、輸出者から依頼を受けた海貨業者や通関業者、フォワーダーは、B/Lやドッグ・レシート(コンテナ貨物の受渡証)、WayBill(貨物運送状)などの輸出・輸入の手続きや通関に必要な書類を発行するため、書面の内容は明確かつ正確に記載する必要があります。
まとめ
今回は、Shipping Instructionの意味や記載内容・役割についてご説明しました。
Shipping Instructionは、添付書類とともに輸出・輸入の手続きや関連書類の作成、また通関手続きやNACCS(ナックス = 通関電子化システム)の入力の際に必要となる場合もあるため、取引条件に沿って正確に記載事項を明記する必要があります。
また決まった様式やテンプレートが定められていないため、自分で作成することも可能ですが、書面の作成に不安な点などがある場合は、海貨業者やフォワーダーなどの専門業者が提供しているテンプレートを元に書面を作成するところから始めることで、作業効率も上がり、誤った記載をしてしまうリスクの軽減にもつながります。
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