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Bill of Lading(船荷証券)の基本と現代的な課題への対策について

海外の取引先と貿易を行う際に必要となる書類は、売買契約書をはじめ、インボイスやパッキングリストなど様々ありますが、なかでも船荷証券(Bill of Lading = B/L)は非常に重要な貿易書類であり、その役割は多岐にわたります。

今回の物流手帖では、船荷証券(Bill of Lading = B/L)の基本的な役割と重要性、また現代的な課題への対策についてご説明していきます。

※本記事は2025年5月時点の情報をもとに作成しています。

船荷証券(Bill of Lading = B/L)の役割と重要性

船荷証券(Bill of Lading = 以下、B/Lと記載)は、運送人と荷主(輸出者)との間で締結された運送契約の内容(積地や揚地、貨物の品名、数量、運賃などの詳細)を明確にする書類で、運送人が荷主から貨物を受け取ったことを証明するだけでなく、貨物の引換証としての役割を持った運送品の引渡請求権を表す有価証券です。

つまりは、B/Lの正本(Original B/L)を所持している者が貨物の所有権を主張でき、輸入地で貨物を受け取る権利を有しているため、輸入者が貨物を確実に引き取るためにはB/Lが必要不可欠です。

また、輸入国側で輸入申告を行う際の通関手続きにおいて、B/Lはインボイスやパッキングリストなどと一緒に税関に提出が求められる重要な書類の一つです。

加えてもう一点、輸出者にとってB/Lは、貨物が船に積載され、運送が開始されたことを証明する重要な書類です。

代金の支払い方法が直接送金の場合、輸入者からの送金を確認した後にB/Lを輸入者に送付することで、輸出者は「貨物の発送」という自身の義務を果たしたことを示し、取引を完了させることができます。

B/Lが持つ「貨物の引換証」や「引渡請求権を表す有価証券」としての役割は、輸入者がB/Lを受け取って初めて貨物を引き取れるという仕組みを構築し、輸出者にとって代金回収の安全性を高める役割も果たしています。

貿易は、取引を行う者同士が、国境を越えた物理的に離れたところでやり取りを行うため、お互いの義務や権利、そのほかに貨物の存在証明や運送人に貨物を引き渡した証明(輸出者側の義務履行の証拠)を明確に形にする必要があります。

これらを信頼できる第三者の運送人が発行するB/Lという公的な書類で担保することで、お互いに信頼関係を築くことができ、グローバルな貿易取引を円滑に進めるための重要な役割を担っています。

現代の物流ニーズとB/Lの関係

ECの普及や航空便の多様化、さらには海上輸送の効率化などによって、国際物流のリードタイムが劇的に短縮されたことで、現代の物流ニーズは高速化している状態にあります。しかし、Original B/Lは通常、以下のプロセスを経て輸入者の元に届きます。

①運送人である船会社が貨物を受け取り、本船への船積みおよび出航後に、

Original B/Lを発行する。

②船会社によって発行されたB/Lが荷主(輸出者)に郵送される。

③輸出者は取引先である輸入者からの決済を確認後、

B/Lを輸入者宛に国際郵便等で送付する。

④輸入者は届いたB/Lをもとに貨物の引き取りに関する諸々の手続きを行う。

これらのプロセスは、数日から場合によっては1週間以上かかることもあり得るため、B/Lの到着よりも先に貨物が到着してしまうことがあります。

輸入された貨物は原則として、保税地域に運び込まれるため、貨物の引き取りに時間がかかってしまうと、保管料が高くなり、その後の生産や販売計画にも影響が出ることが考えられます。また、鮮度が重要な商品や、季節性が高い商品の場合などは、貨物の引き取りの遅れがビジネス機会の損失に直結する可能性も高まります。

B/Lが貿易取引において重要な役割を担っているが故に、現代の物流ニーズとの間にずれが生じ、様々なリスクの発生につながってしまうこれらの問題は、現在、貿易に関わる事業者や各分野においても重要な課題としてあげられています。

B/Lが抱える現代的な課題への対策について

前項でご説明したように、B/Lの特性は現代的な課題を抱えているため、円滑に貿易取引を進めていくための対策を講じる必要があります。

まずはB/Lそのものを迅速に手配し、速やかに郵送するという方法も基本的な対策として有効ではありますが、素早い情報共有や各社との連携を密に行う必要があります。

スムーズにB/Lのやり取りを行うための方法として、そのほかに考えられる対策としては、B/Lの種類を選ぶということです。

①海上運送状(Sea Waybill)の活用

Sea Waybillは、船会社が荷主から貨物を受け取ったことを証明する受領書としての役割と、運送契約に関する内容が記載された運送状としての役割を担った貿易書類です。記載内容はB/Lに近しい書類ではありますが、有価証券ではないため、裏書による譲渡ができません。到着した貨物を引き取る際に書類の提示は必要なく、運送状に記載された荷受人であることが確認できれば、貨物を引き取ることができます。

②サレンダードB/L(Surrendered B/L)の活用

輸出地で、本船出港後に発行されたOriginal B/Lを船会社に返却(サレンダー)することで、輸入地で貨物を引き取る際にOriginal B/Lの提出が不要になる仕組みです。船会社は回収したB/LをサレンダードB/Lとして荷送人に返却し、荷送人は輸入地側の荷受人にメールやファックスなどでサレンダードB/Lを送付します。

eB/Lの活用

まだ完全に普及しているわけではありませんが、B/Lの電子化(eB/L)は国際貿易における現代的な課題を解決する切り札として期待されています。ブロックチェーン技術などを活用したeB/Lは、従来の紙のB/Lが抱える郵送時間や紛失のリスクを解消し、よりセキュアかつ迅速な情報伝達を可能にすると考えられています。

自社の体制や取引先との兼ね合いを踏まえて、どのような対策を講じるべきなのかを考え、実行に移すためには、最新の情報収集やプラットフォームに関する知識を身につけるということが、 B/Lが抱える現代的な課題への対策につながります。

まとめ

今回は、船荷証券(Bill of Lading = B/L)の基本的な役割と重要性、また現代的な課題への対策についてご説明しました。

B/Lの本質は、貨物の所有権を明確に証明し、安全に国際的な取引を進めていくための重要な貿易書類です。その本質を理解し、現代の物流ニーズとのギャップから生まれる様々な課題に対して、Sea WaybillやサレンダードB/Lといった代替手段を適切に活用していくことが重要となるでしょう。

関連記事として以下の記事では、について解説していますので、ぜひご覧ください。

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