横持ちとは、工場や倉庫などの拠点間で行う貨物輸送のことで、物流の現場で頻繁に使用されている業界用語です。
単純に拠点間の貨物輸送と聞くと、それ以上の意味を持たないように感じますが、物流業界における横持ちとは、メーカーや商社、フォワーダーなどの業種により、それぞれ目的や課題、そして最適化の重要性が大きく異なります。
今回の物流手帖では、各業種の視点から見た横持ちの意味や目的、主な課題と最適化についてご説明します。
※本記事は2025年11月時点の情報をもとに作成しています。
業種ごとに異なる横持ちの意味について
横持ちとは、工場や倉庫などの拠点間で行う貨物輸送のことですが、メーカーや商社、フォワーダーなどの業種によって意味や発生箇所が若干異なります。
ここではそれぞれの視点から横持ちの意味や発生箇所について解説します。
メーカー(製造業)の視点
メーカー(製造業)にとっての横持ちとは、主に自社の施設または製造工程に関わる各拠点間の物流のことを指しており、横持ちの発生箇所については以下などがあげられます。
・複数の工場で加工が行われる場合の工程間で発生する輸送の際(例:部品工場から組み立て工場までの輸送など)
・組み立て工場から倉庫や主要な物流拠点(DCやTCと呼ばれるディストリビューションセンター、またはやトランスファーセンターなど)に完成品を輸送する際(一時輸送や幹線輸送として扱われることもあります)
・複数ある部品倉庫から必要な時に必要な部品を生産ラインへ運ぶ構内輸送の際(インプラント横持ち)
現在のサプライチェーンの仕組みにおいて、横持ちは必要不可欠な工程の一つであり、そのコストは製造原価の一部として価格に組み込まれることが多いため、
メーカーにとって横持ちの最適化や効率化は大きな課題となっています。
商社(卸売業を含む)の視点
商社(卸売業を含む)にとっての横持ちとは、単なる拠点間の輸送ではなく、在庫管理や顧客への販売戦略に直結する重要な要素の一つとして考えられています。
具体的には横持ちの発生箇所は以下などがあげられます。
・調達倉庫から販売倉庫に向けて、仕入れた商品を指定の倉庫へ移動させる際
・需要予測のずれ等により、各地域ごとに点在する物流拠点や倉庫の在庫を調整する際
・仕入れた商品を提携先の倉庫や協力会社へ一時的に移動させて、検品や簡単な加工作業(流通加工)を行う際
横持ちにかかるコストは、管理費などの経費として組み込まれることが多いため、コストがかさむと商品の粗利を圧迫する恐れがあります。
フォワーダー(利用運送事業者)の視点
フォワーダー(利用運送事業者)にとっての横持ちとは、主に工場や倉庫などの拠点間で行う貨物輸送や内陸輸送のことを指しますが、場合によっては国際輸送の前後の工程(ドレージや内陸輸送)の一部のことを指すこともあります。
国際輸送の前後の工程での横持ちの発生箇所は、以下などがあげられます。
・荷主企業の工場や倉庫から輸出港のコンテナヤード(CY)へコンテナを輸送する際
・輸入港のCYから顧客の指定倉庫へのコンテナを輸送する際
・コンテナを一時的に保管または返却する施設と荷主の物流拠点との間を輸送する際
いずれも上記の工程は、物流の現場で基本的にドレージとして扱われており、横持ち自体は、拠点間の輸送や内陸輸送の際に使用されることが多いです。
フォワーダーにとって横持ちは、顧客である荷主企業のサプライチェーン全体の最適化提案につながる重要な要素の一つとして考えられています。
横持ちが発生する際のデメリットについて
前項でご説明したように、横持ちは最終顧客への納品に直接結びつかない区間で発生する輸送となっているため、横持ちでの移動距離が長い場合や回数が多い場合などの非効率的な横持ちの発生は、貴重な輸送リソースを消費し、リスク管理や人件費などのコストも増加することで、サービスや品質低下につながる恐れもあります。
またリードタイムの延長や横持ちの発生による在庫管理の複雑化など、エンドユーザーに影響を及ぼす可能性もあるため、戦略的かつ最適な運行計画を確立させることが求められています。
最適化のポイントとは
横持ちの発生には、製造工程や販売プロセスにおける明確な背後関係が存在します。
例えば、製造工程において専門性や地理的な制約(特定の地域でのみ扱うことができる特殊な設備など)を受けることで、分業体制を維持せざる得ない場合には、中間製品や部品を工場間で輸送する横持ちが必須となります。
また生産ラインを停止させないための対策として、あえて工場と倉庫の間で完成品や部品の在庫を一時的に移動(横持ち)させることもあるため、横持ち自体を削減するのではなく、最適化を行うことが重要です。
主な最適化のポイントとしては、以下などがあげられます。
①部品などの横持ちを生産ラインのニーズに極限まで合わせる。
②複数あった生産倉庫を統合し、横持ちそのものの発生頻度を抑制する。
③複数の工場や倉庫を効率的に巡回することで、車両の積載率を高めて、運行回数を削減する。
④過去の販売実績や地域需要に基づいて、在庫を最も売れる可能性の高い倉庫に多く保管することで、横持ちによる在庫調整を最小化する。
⑤点在する拠点の在庫状況をリアルタイムで把握し、最適な拠点からの出荷を指示することで、横持ちを直接配送に切り替える。
横持ちはいわば、事業活動を維持するための生命線でもあるため、そのデメリットを最小化し、機能を最大限に引き出すことが重要であると考えられます。
まとめ
今回は、各業種の視点から見た横持ちの意味や目的、主な課題と最適化についてご説明しました。
横持ちは単なる拠点間の輸送としての意味合いだけでなく、製造工程の一部としてその機能を果たす役割を担っており、また在庫調整や配送効率を上げる目的で戦略的に組み込まれる重要なプロセスとして認識されています。
関連記事として、以下の記事では、物流拠点の集約と分散化のメリットについて解説していますので、ぜひご覧ください。
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